香港、新型コロナ新規陽性者26人…初歩陽性も100人超、大型マンション群でオミクロン株の爆発的感染拡大の恐れ=1/22

 人口約740万人の香港では、2020年11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、2021年5月にかけて状況が落ち着き、同月末までに終息した。

 6月以降も外遊歴のない人(多くが空港業務従事者)の散発的な感染確認があったものの、長く市中における連鎖的な伝播は出現していなかったが、大晦日に検疫規則違反のキャセイパシフィック航空の男性クルーをきっかけとした飲食店内での伝播が出現したことが判明し、83日にわたって続いた市中感染確認例ゼロ記録がストップ。年初以来、別のキャセイ航空クルーを発端とした感染連鎖伝播チェーン(いずれもオミクロン変異株)、ペットショップの輸入ハムスターが発端のデルタ変異株の伝播、隔離検疫ホテルにおける交差感染を発端としたオミクロン株伝播などが出現する中、連日新規陽性者が相次いでおり、「第5波」が始まったものとみられる。

 香港衛生当局の発表によれば、1月22日午前0時時点集計の単日の新規陽性者は26人で、内訳は輸入関連性を含む市中が25人、輸入性(海外からの入境者)が1人。

 輸入関連性を含む市中の陽性者のうち感染経路不明は3人。10人が新界南西部の葵涌地区にあるマンション「葵涌邨逸葵樓」の住民または訪問者とのこと。

 「葵涌邨」は複数の棟で構成される大型マンション群(全16棟)で、逸葵樓はそのうちの一棟。隔離検疫ホテルで所定の隔離検疫期間を満了したパキスタン籍の女性が市中に出た後にオミクロン変異株感染確認されたケース(検疫期間中に隣接する部屋の陽性者からの交差感染)と関連があり、この女性の夫が密接接触者に認定され隔離検疫される前の1月13日に逸葵樓のゴミ置き場を訪れたことをきっかけに、清掃員、警備員、さらには住民へと伝播したものとみられる。逸葵樓の隣に位置する映葵樓関連の陽性者も出現した。

 初歩陽性者は100人超で、大半が「逸葵樓」関連とのこと。香港当局は1月21日から同棟を局地ロックダウンして5日間にわたる検査を実施(出入不可)しているが、爆発的感染拡大につながる恐れがあるとし、22日に映葵樓についても同様の措置を講じることを発表。また、22日夜には葵涌邨の芊葵樓、曉葵樓、旭葵樓、雅葵樓を局地ロックダウン(検査結果判明後は出入可)、残る10棟でも全住民に対する強制ウイルス検査が実施されるという。

 目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)あるいは強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めも進む状況。近日では、水際措置の強化を受けて輸入性事案は大幅減となっているものの、輸入性を含む市中事案が連日出現し、感染経路不明のケースも複数存在する中、見えない伝播チェーンが存在する可能性も排除できないとし、警戒が続いている。

 このほか、香港の1月21日午後8時時点のワクチン接種率は77.5%(1回目の接種完了)、70.4%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。累計接種回数は1071万8571回、1日あたり接種回数は4万7831回(7日移動平均値3万8216回)。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は昨年9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割(1回目接種完了)を突破できるとする見通し示していたが、9月以降は接種回数の低迷が顕著で、11月23日にようやく達成された。11月11日から3回目の接種(ブースター接種)がスタートし、上述の接種回数には3回目も含んだものとなっている。3回目の累計接種回数は75万9252回。市中感染確認例が相次ぎ出現したことで、年初から再び接種回数が上向きに転じている。

「葵涌邨逸葵樓」住民に対する強制PCR検査受検確認作業の様子(資料)=2022年1月20日(写真:news.gov.hk)

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