香港、新型コロナ新規市中感染確認343人…2年来最多、今後さらに増える見通しも=2/5

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まったとされる。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。近日、市中における新規感染確認数は連日3桁に上り、感染経路不明のケースも増加の一途。

 香港衛生当局の発表によれば、2月5日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は351人で、内訳は市中が343人(感染経路不明161人)、輸入性(海外からの入境者)が8人。単日の市中における新規感染確認数、感染経路不明事案数とも新型コロナの流行開始2年来で最多に。これとは別に初歩陽性者が約200人に上る。

 市中感染343人のうち大半がオミクロン変異株感染疑いで、デルタ変異株感染疑いは24人とのこと。

 香港食品衛生局の陳肇始(ソフィア・チャン)局長は5日夕方の記者会見で、現在の香港における流行状況は非常に深刻で、下水のモニタリング調査から多くのエリアから陽性反応が検出され、各所の集合住宅で垂直・平行伝播も出現するなど、極めて憂慮すべき事態との見方を示した。また、春節(旧正月)期間中にイベントや会合等で人が集まる機会もあったことを考慮すれば、短期的に感染確認数が急増することも予想されるとし、今後ソーシャルディスタンス措置等の蔓延防止策のさらなる強化を図る考えもあり、市民に対して防疫のため外出を控えるよう呼びかけを行った。加えて、医療資源及び検疫施設のキャパシティが不足する状況が予想されることを受け、検疫施設の収容対象、無症状・軽症患者の隔離運用の一部変更も明らかした。

 香港政府はすでに緊急及び防疫を除く政府職員に対して2月11日まで在宅勤務を命じており、民間でもこれに追従する動きがみられる。

 目下、香港では市中で出現した感染確認及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)や強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めなどの策も講じられている。

 このほか、香港の2月4日午後8時時点のワクチン接種率は79.8%(1回目の接種完了)、71.8%(2回目の接種完了)となっている(※1月21日から新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したなどを受けて、年初から上昇傾向が続いている。

東九龍・カイタック地区にある特定のマンション複数棟の住民を対象とした強制検査の受付作業の様子=2022年2月4日(写真:news.gov.hk)

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