マカオ、2022年2月のカジノ売上は対前年6.1%増の約1109億円…1〜2月累計は8.0%減

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は3月1日、今年(2022年)2月のマカオの月次カジノ売上(Gross Gaming Revenue=GGR)について、前年同月から6.1%増、前月からも22.3%増となる77.59億パタカ(日本円換算:約1109億円)だったとする最新統計を公表。

 前年同月比、前月比とも2ヶ月ぶりのプラス。

 マカオでは、2020年1月下旬から現在に至るまで入境制限を含む厳格な水際措置が講じられており、平年と比較してインバウンド旅客数が大幅に落ち込んでいる。ただし、同年第3四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、カジノ売上の回復につながった。しかしながら、2021年5月下旬にマカオと隣接する中国広東省、7月下旬には中国本土各地で新型コロナの再流行が出現。8月初旬及び9月下旬から10月初旬にかけてはマカオ域内でも市中感染確認例が相次いだ。直近では、1月上旬から中旬にかけて香港寄りの広東省深セン市及びマカオと陸続きの広東省珠海市とその北隣の中山市で市中感染確認例が出現。こういった事情から、入境制限を含む各種水際措置が一時的に強化されたことによるインバウンド旅客減が昨年6月、8月、9月、10月と今年1月の売上に影響を与えたとみられる。今年1月の広東省における再流行が一旦落ち着いたことで、2月は旅客数の回復が進んだ。2月初旬に春節(旧正月)ホリデーがあったが、本格的な回復は中旬以降だったとされる。これまでも一旦落ち込んだ後、旅客の回復に伴い反動増となることを繰り返してきた。

 2月の営業日は28日間で、1月より3日間短い。今年2月の1営業日あたりの平均売上は前月から3割超の増加となる2.77億パタカ(約39.6億円)。新型コロナの影響が生じて以降の推移については、2020年第2四半期の0.23億〜0.56億パタカ(約3.3億〜8.0億円)が底で、2021年5月にかけて回復が進み、その後は水際措置の調整と連動してアップダウンを繰り返している。

 今年1〜2月累計のカジノ売上は前年同時期から8.0%減の141.02億パタカ(約2016億円)。ただし、変動率は前月時点から12.9ポイント上昇(良化)。

 なお、2021年通期(1〜12月累計)のカジノ売上は対前年43.7%増の868.63億パタカ(約1兆2412億円)で、3年ぶりの対前年プラスに。ただし、マカオ政府の2021年度財政予算における当初カジノ売上見込みの1300億パタカ(約1兆8575億円)には大きく届かなかった。政府は2022年度予算における売上見込みについても同額に据え置いている。

 このほか、特殊要因として11月下旬にマカオ最大手のカジノ仲介業者(ジャンケットオペレーター)「サンシティ」トップが不法賭博容疑などで逮捕されたことをきっかけに、複数のカジノ運営企業が仲介業者との協力関係見直しを図り、多くのジャンケット系のVIPルームが12月末までに閉鎖となった。1月下旬にも業界二位と目される「タクチュン」のトップがサンシティ事案に絡んだとして逮捕されており、業界に激震が走っている。

 かつてマカオのカジノ売上の大半がVIPルームによるものだったが、近年ではマス(平場)シフトが進み、割合は均衡あるいはマス優勢の状況となっていた。新型コロナウイルス感染症の影響が生じって以降もVIPルームの占める割合は縮小が続き、昨年は前年から10.7ポイント下落の32.8%に。カジノ仲介業界に大きな動きのあった昨年第4四半期に限ると25.7%。これまでのところ、ジャンケット系VIPルーム閉鎖によるカジノ売上全体への目立った影響は出ていない。ジャンケット系VIPルームの客の一部はカジノ運営会社直営のVIPルームやプレミアムマスに移ったものとみられる。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

【資料1】2022年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:63.44億パタカ=約907億円(20.9%減)
・2月:77.59億パタカ=約1109億円(6.1%増)
>1〜2月累計:141.02億パタカ=約2016億円(8.0%減)

【資料2】2013年〜2021年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億パタカ=約5兆1546億円(18.6%増)*ピーク時
・2014年:3515.21億パタカ=約5兆0227億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億パタカ=約3兆2984億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億パタカ=約3兆1894億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億パタカ=約3兆7971億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億パタカ=約4兆3272億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億パタカ=約4兆1788億円(3.4%減)
・2020年:604.41億パタカ=約8636億円(79.3%減)
・2021年:868.63億パタカ=約1兆2412億円(43.7%増)

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