香港、新型コロナ新規感染確認数5.5万人超…流行第5波開始以来最多を2日ぶり更新=3/2
- 2022/3/2 18:59
- 香港・大湾区
人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。
第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療システムのキャパシティが限界に達するなど、状況が深刻化。近日、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。
香港衛生当局の発表によれば、3月2日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は前日から2万2756人増(69.8%増)の5万5353人だったとのこと。流行開始以来最多を2日ぶりに更新した。内訳は市中が5万5326人、輸入性(海外からの入境者)が27人。輸入性のうち23人はインドネシアから到着したキャセイパシフィク航空CX796便関連という。当局では、市中感染確認数は依然として増加傾向にあり、ピークに達していないとの見方を示した。さらに、週内にスピード検査の結果が陽性だった場合にオンラインで報告を行うプラットフォームが稼働することを受けて、数字は大幅増が予想されるが、より市中における実情に近い数字を把握できるようになるとした。第5波開始以来の市中感染確認数の累計は約28.1万人。
公立病院における2日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は117人(年齢58〜99歳)、これとは別に26〜28日分として遅れて報告された死亡者が43人おり、1日発表分が下方修正(1人減の116人)とされたことを踏まえた第5波開始以来の累計死亡者数は967人、流行開始以来では1172人に。
第5波下、高齢者または障がい者施設に関連する感染例が多く確認されており、これまでに感染例が出現した施設は670軒、感染者数は職員が約1100人、入所者が約3600人に上っているとのこと。さらに、医管局職員の累計感染者数も約3750人に上るという。
2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設を進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施なども発表済み。医管局は2日、一般病室に強力な換気扇を設置することで、新型コロナ患者の収容キャパシティを拡大する対応策を講じていることも明らかにした。
香港の3月1日午後8時時点のワクチン接種率は89.3%(1回目の接種完了)、77.3%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は34.4%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したこと、ワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。1日単日の接種回数は7万7852回で、高位を維持。政府は免疫の壁を構築するための目標として接種率9割の達成を掲げており、ワクチンパスが24日から本格スタートした。
香港で新型コロナワクチン接種プログラムがスタートしたのは、昨年2月26日のことで、丸1年が経過した。接種率50%を達成したのは8月5日で、70%が11月23日、80%が今年2月6日。数日以内に90%が達成される見通し。