中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は約2.6万人…上海市が約9割、広東省でも流入例相次ぐ=4/9

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が4月10日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月9日の中国本土における新規市中感染確認は1318人(前日から16人減)だったとのこと。内訳は、上海市1006人(浦東新区513人、黄浦区103人、閔行区86人、金山区45人、徐匯区43人、宝山区35人、楊浦区32人、長寧区29人、普陀区25人、静安区24人、嘉定区21人、奉賢区13人、虹口区12人、松江区10人、青浦区9人、崇明区6人)、吉林省242人(長春市175人、吉林市65人、白城市2人)、浙江省16人(杭州市7人、嘉興市5人、寧波市3人、麗水市1人)、広東省10人(広州市)、福建省9人(泉州市8人、寧徳市1人)、海南省6人(三亜市)、山西省5人(太原市)、江蘇省5人(南京市3人、徐州市2人、蘇州市1人)、北京市3人(朝陽区2人、順義区1人)、河北省3人(邯鄲市2人、承徳市1人)、江西省3人(南昌市)、山東省3人(済南市2人、済寧市1人)、四川省2人(成都市)、陝西省2人(西安市)、遼寧省1人(瀋陽市)、黒竜江省1人(牡丹江市)、湖北省1人(恩施トゥチャ族ミャオ族自治州)。このうち上海市の191人、吉林省の90人、浙江省の10人、福建省の5人、海南省の4人、山西省の2人、遼寧省、山東省、広東省、四川省の各1人の計306人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは176日連続。4桁となるのは29日連続で、上海市では過去最多だった前日から微減となったものの、2日連続で4桁に。

 市中の無症状感染例についても2万5037人(前日から1300人増)に上った。近日は上海市で増加傾向、吉林省で高止まりが続く。内訳は、上海市2万2609人(浦東新区1万0600人、閔行区4461人、宝山区2207人、徐匯区1109人、楊浦区1037人、長寧区811人、普陀区629人、静安区575人、青浦区549人、松江区490人、黄浦区447人、虹口区360人、嘉定区352人、崇明区172人、奉賢区113人、金山区25人)、吉林省755人(長春市703人、吉林市50人、白城市2人)、河北省84人(邯鄲市52人、保定市31人、定州市1人)、江蘇省65人(蘇州市22人、南通市17人、宿遷市9人、鎮江市7人、南京市6人、徐州市2人、無錫市1人、塩城市1人)、安徽省44人(阜陽市32人、六安市10人、淮南市2人)、浙江省32人(嘉興市19人、杭州市10人、金華市3人)、江西省26人(南昌市25人、九江市1人)、山東省18人(済南市11人、臨沂市5人、イ坊市1人、威海市1人)、湖北省16人(武漢市10人、随州市3人、黄岡市2人、恩施トゥチャ族ミャオ族自治州1人)、広東省13人(仏山市8人、深セン市4人、広州市1人)、遼寧省12人(瀋陽市9人、錦州市2人、阜新市1人)、広西チワン族自治区7人(防城港市)、河南省5人(周口市2人、安陽市、許昌市1人、永城市1人)、新疆ウイグル自治区5人(ウルムチ市)、山西省4人(太原市3人、陽泉市1人)、福建省4人(寧徳市3人、泉州市1人)、海南省3人(三亜市)、雲南省3人(普ジ市1人、文山チワン族ミャオ族自治州1人、徳宏タイ族チンポー族自治州1人)、四川省2人(成都市1人、遂寧市1人)、天津市1人(西青区)、黒竜江省1人(牡丹江市)。

 無症状を含む新規感染者が5桁となるのは8日連続で、5日連続2万人超。このところ連日流行開始後の最多を更新している。

 4月9日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は2万2589人(うち輸入性が429人)で、重症者は80人(輸入性はゼロ)。無症状の患者19万5948人(輸入性927人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。

 香港・マカオと陸で接する広東省では、今年に入って以降、珠江西岸(マカオ寄り)の珠海市と中山市、珠江東岸(香港寄り)の深セン市と東莞市をそれぞれ中心として断続的に市中感染確認例が出現していたが、近日の両市の感染確認数は低位を維持している。ただし、近日は各地で省外からの流入例が相次いでいる。広州市では、白雲区の一部が局地ロックダウンとなっており、天河区でも屋内型の娯楽施設(バー、カラオケ店、観光地ほか)がクローズとなり、卸売市場、劇場、大型ショッピングモールを含む重点場所でも健康コードと検温の徹底が通達された。また、珠海市では公共路線バス利用時に72時間以内のPCR検査陰性証明の提示が必須に。

 このところ中国本土の多くの省市区で新規感染者の出現が相次いでいるが、特に深刻なのが華東部の上海市と東北部の吉林省。上海市では当初3月28日から4月5日の予定で事実上のロックダウンを伴う全市民を対象としたPCR検査を実施するとしてしたが、以降も全市民を対象としたPCR検査と抗原検査が継続実施されている。9日、市当局はリスク度合い別に三段階の防疫管理を行うとする新基準を公表。社区と呼ばれる小ブロック単位で、7日以内に感染者が出現した場合は封鎖継続、7日以上感染者が出現しなかった場合は社区内での移動を許容、14日以上感染者が出現しなかった場合は外出を許容するが地区を跨ぐ移動及び人との集まりは禁止といった内容。当面の間、本格的なロックダウンの解除は望めない見通し。

 マカオ特別行政区では4月9日まで181日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月以降は感染確認数が急増しており、第5波開始以来、4月9日までの累計は約117.5万人(無症状含む)、死亡者数は8492人、死亡率は0.72%。3月初旬にピークを過ぎたとされ、直近7日連続で新規感染確認数が5千人以下となったが、依然として高止まりが続く状況。8日から10日までの3日間、全市民を対象としたスピード抗原検査計画(強制ではなく参加は個人の意思に委ねられる)が実施されている。なお、香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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