香港の新型コロナ新規感染者数1921人…第5波累計約117.7万人、日本航空が1週間乗り入れ禁止に=4/10

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は、新規感染確認数も落ち着きつつあるが、依然として高止まりが続く。

 香港衛生当局が4月10日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から614人減(24.2%減)の1921人(輸入性18人含む)とのこと。内訳は迅速抗原検査経由が1033人、PCR検査経由が888人。2日ぶりに下落となり、ピーク期以降で2千人を下回るのは初めて。第5波開始以来の累計感染者数は約117.7万人。

 輸入性患者18人については、13人が空港到着時、5人が隔離検疫ホテル滞在中の検査でそれぞれ陽性となり感染確認に至ったもの。防疫規定に抵触したとして(空港到着時の検査で陽性となった搭乗者の数が一定数を上回る等)、東京発の日本航空便、イスタンブール発のトルコ航空便が1週間にわたって乗り入れ禁止とされた。

 新たに報告された死亡者数は65人、第5波開始以来の累計死亡者数は8557人となり、総体死亡率は前日から微増の0.727%に。

 香港の全市民を対象とした迅速抗原検査計画(強制ではなく参加は個人の意思に委ねられる)が8日からスタートした。10日までの3日間、毎日1回検査を行い、結果が陽性となった場合は24時間以内に特設サイト等の所定の経路で当局に報告することが求められる。ただし、前日(9日)が微増にとどまり、この日も大幅な下落となり、これまでのところ新規感染確認数の急増には至っていない。

 10日午前の行政長官による定例記者会見において、3日間にわたる迅速抗原検査計画の結果が12日にもまとまるとし、これを踏まえて今週にはイースターホリデー後の学校の段階的な対面授業再開に関する具体的なプラン、ソーシャルディスタンス措置の緩和に関する詳細を発表できるとの見通しを示した。

 2月以降の感染急拡大によって、医療現場のキャパシティ不足が深刻化したことを受け、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設、医療支援チームの受け入れなどを進めて対処を進めた結果、直近では入院待機状況が改善傾向にあるという。一時ストップしていた局地ロックダウンによる強制ウイルス検査も再開された。

 香港の4月9日午後8時時点のワクチン接種率は92.4%(1回目の接種完了)、85.9%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は62.2%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、近日は再び頭打ち状態に。9日単日の接種回数(1〜3回目の接種合計)は3万3919回で、7日移動平均は3万1511回。年齢層別の接種率では、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳(82.4%)と80歳以上(59.2%)が大きく平均を下回っており、接種率向上策が講じられている。当局は、4月末までに高齢者の接種率9割を達成することを目標として掲げている。

 10日夕方の会見では、これまで10.3万人の子供の感染例を分析した結果として、ワクチン未接種者の場合、毎1万人中8人が深刻な状況となり、接種完了者と比較して8倍にあたるとのデータが紹介され、保護者に対して子女に早期の接種を受けさせるよう呼びかけがなされた。

定例記者会見に臨む香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官=2022年4月10日(写真:news.gov.hk)

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