中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は約1.1万人…上海が大半、北京で連日2桁、広州では市外への移動を制限=4/29
- 2022/4/30 10:29
- 香港・大湾区
中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。
中国の国家衛生健康委員会(NHC)が4月30日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月29日の中国本土における新規市中感染確認者数は1410人(前日から4236人減)だったとのこと。内訳は、上海市1249人、北京市48人、広東省28人、四川省26人、吉林省20人、浙江省8人、山東省8人、内モンゴル自治区6人、江蘇省5人、湖南省3人、黒竜江省2人、江西省2人、河南省2人、新疆ウイグル自治区2人、遼寧省1人。このうち上海市の985人、吉林省の13人、浙江省の5人、山東省の4人、北京市の2人、広東省の2人、遼寧省の1人、湖南省の1人の計1013人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは196日連続、4桁となるのは49日連続。
市中の無症状感染例は9293人(前日から649人減)。内訳は、上海市8932人、遼寧省85人、江西省68人、新疆ウイグル自治区40人、吉林省35人、山東省31人、浙江省22人、安徽省19人、広東省16人、江蘇省15人、四川省10人、北京市6人、雲南省4人、黒竜江省3人、河南省3人、河北省2人、湖北省1人、広西チワン族自治区1人。
無症状を含む新規感染者が5桁となるのは28日連続で、5日連続2万人を下回った(1万0703人)。このうち上海市の報告数が1万0181人に上り、全体の95.1%を占めた。
4月29日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は2万6567人(うち輸入性が164人)で、重症者は458人(輸入性はゼロ)。無症状の患者19万1036人(輸入性589人)が医学観察下にあるとのこと。
中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。
このところ中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのがすでに累計感染者数が50万人超に達した上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態が続き、市民は長期にわたって自宅待機を余儀なくされているが、本格的なロックダウンの解除時期も見通せない状況。同市における新規感染確認数は依然として高止まりが続く。また、29日まで13日連続で複数の死亡例も報告されている。
近日は北京市でも感染例の出現が相次いでおり、今回の再流行における感染者の累計は約250人規模に。ここまで市内12の区で感染確認例が出現しており、特に多いのが朝陽区とのこと。目下、複数の区で全員PCR検査が実施されているほか、各種防疫措置の強化が矢継ぎ早に進められている状況。
香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現している。広州市当局は29日の会見で、今回の再流行は輸入関連性のものであり、空港従事者が勤務中偶発的に暴露感染したことがきっかけとの見方を示した。中国本土ではまもなく労働節の大型連休を迎えるが、29日から広州市外への移動にあたり48時間以内のPCR検査陰性証明の提示が必須となり、市当局は不要不急の省外への移動及び会合や食事会などをしないよう呼びかけた。
マカオ特別行政区では4月29日まで201日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、第5波開始以来、4月29日までの累計は約119.1万人(無症状含む)、死亡者数は9085人に。3月初旬にピークを過ぎたとされ、直近では29日まで6日連続500人以下を維持。29日単日では366人(輸入性14人含む)。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。