中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は3426人…上海が88%占めるも下落傾向、北京では市中の伝播チェーン依然存在=5/9

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月10日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月9日の中国本土における新規市中感染確認者数は349人(前日から52人減)だったとのこと。内訳は、上海市234人、北京市61人、河南省25人、広東省15人、青海省10人、遼寧省2人、福建省1人、貴州省1人。このうち上海市の156人、河南省の7人、北京市の3人、広東省の3人、遼寧省の2人、青海省の1人の計172人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは206日連続、10日連続で1千人以下となった。

 市中の無症状感染例は3077人(前日から782人減)。内訳は、上海市2780人、河南省98人、江蘇省55人、遼寧省53人、青海省17人、北京市13人、浙江省9人、吉林省6人、広東省6人、四川省3人、河北省1人、重慶市1人。

 無症状を含む新規感染者数は3426人で、10日連続1万人以下に。このうち上海市の報告数が3014人に上り、全体の88.0%を占めた。

 5月9日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は8068人(うち輸入性が154人)で、重症者は511人(輸入性はゼロ)。無症状の患者8万7294人(輸入性452人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態が続き、依然として本格的な解除時期は見通せない状況。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向を維持。9日まで3日連続で4千人以下に。全体に占める割合も低下傾向にあり、9日にはようやく9割を下回った。

 4月22日以降、北京市でも感染例の出現が相次ぐ。9日午後3時までの累計感染者数は777人に上り、うち304人が朝陽区の事案。同区では、10日も区域PCR検査が継続実施されるという。市当局は9日午後の会見において、依然として社会面(隔離対象外の一般市中)における伝播チェーンの遮断には至っておらず、(順義区の銀行データセンターで21人が感染するクラスターが出現したことを受け)目下のところクラスターが防疫上の大きなリスクとなっているとした。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、5月7日には南部の湛江市で同じ倉庫会社に勤める複数人とその濃厚接触者の感染例、8日にはマカオに近い中山市の西北に位置する古鎮鎮でも新たに1人の感染者が出現している。

 マカオ特別行政区では5月8日まで210日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、第5波開始以来、5月8日までの累計は約119.3万人(無症状含む)、死亡者数は9133人、死亡率は0.765%に。3月初旬にピークを過ぎたとされ、直近では8日まで15日連続500人以下を維持。8日単日では266人(輸入性25人含む)で、ピーク期以降の最少を2日連続更新した。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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