中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1847人…上海の占める割合が8割まで低下、北京では職域クラスター2件発生=5/10

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月11日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月10日の中国本土における新規市中感染確認者数は302人(前日から47人減)だったとのこと。内訳は、上海市228人、北京市24人、河南省22人、広東省10人、青海省10人、遼寧省4人、浙江省2人、福建省2人。このうち上海市の198人、青海省の5人、遼寧省の4人、北京市の2人、河南省の1人の計172人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは207日連続、11日連続で1千人以下となった。

 市中の無症状感染例は1545人(前日から1532人減)。内訳は、上海市1259人、河南省67人、遼寧省60人、江蘇省49人、江西省44人、北京市13人、広東省10人、青海省10人、四川省9人、河北省5人、浙江省5人、吉林省4人、広西チワン族自治区3人、湖北省2人、貴州省2人、山西省1人、安徽省11人、重慶市1人。

 無症状を含む新規感染者数は1847人で、11日連続1万人以下に。このうち上海市の報告数が1487人に上り、全体の80.5%を占めた。

 5月10日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は7568人(うち輸入性が165人)で、重症者は484人(輸入性はゼロ)。無症状の患者7万9926人(輸入性465人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態が続き、依然として本格的な解除時期は見通せない状況。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向を維持。10日は1500人以下まで減少し、無症状から感染確認に転じたケースのほかは、すべて隔離対象またはリスク対象者の中から見つかったもの。全体に占める割合も低下傾向にあり、2日連続で8割台に。

 4月22日以降、北京市でも感染例の出現が相次ぐ。10日午後3時までの累計感染者数は836人に上った。市内15の区の分布しており、うち329人が朝陽区とのこと。同市では近日2つの職域クラスター(銀行データセンターと鉄道会社)の発生が確認されており、この2件に絡む感染者数は41人で、8つの区に影響が及んでいるとした。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、5月7日に倉庫会社を発端とした感染者の出現が相次ぐ省南部の湛江市では、累計60人規模まで拡大している。

 マカオ特別行政区では5月10日まで212日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、第5波開始以来、5月10日までの累計は約119.4万人(無症状含む)、死亡者数は9139人に。3月初旬にピークを過ぎたとされる。10日単日では273人(輸入性27人含む)で、4日ぶりに上昇となったが、10日まで17日連続で500人以下を維持。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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