中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は2452人…上海で3日ぶり2千人超、北京は12の区でPCR検査によるスクリーニング実施へ=5/12
- 2022/5/13 10:34
- 香港・大湾区
中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。
中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月13日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月12日の中国本土における新規市中感染確認者数は312人(前日から90人増)だったとのこと。内訳は、上海市227人、北京市42人、河南省15人、広東省11人、青海省8人、四川省6人、重慶市2人、陝西省1人。このうち上海市の167人、四川省の4人、北京市の3人、河南省の1人、広東省の1人の計176人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは209日連続、13日連続で1千人以下となった。
市中の無症状感染例は2140人(前日から510人増)。内訳は、上海市1869人、四川省94人、遼寧省58人、江蘇省35人、河南省29人、青海省22人、江西省10人、北京市8人、河北省5人、浙江省4人、広東省3人、天津市1人、広西チワン族自治区1人、重慶市1人。
無症状を含む新規感染者数は2452人で、13日連続1万人以下に。このうち上海市の報告数が2096人に上り、全体の85.5%を占めた。
5月12日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は6944人(うち輸入性が184人)で、重症者は397人(輸入性はゼロ)。無症状の患者7万0770人(輸入性447人)が医学観察下にあるとのこと。
中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。
今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態が続き、依然として本格的な解除時期は見通せない状況。2月26日以降の累計感染確認者数は約5.6万人、死亡者数は567人に。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向にある。12日は3日ぶりに2千人を上回り、全体に占める割合も8割台後半まで上昇した。
4月22日以降、北京市でも感染例の出現が相次ぐ。12日午後3時までの累計感染者数は900人超に上った。市当局は12日の会見で、これまで300人の感染確認例を分析したところ、市内に2つの伝播チェーンが存在し、それぞれ朝陽区と豊台区の医療機関と関連することがわかったとした。また、伝播チェーンははっきりしているものの、依然として社会面(隔離対象ではない一般市中)における見えない感染源が存在し、伝播チェーンは完全に遮断できていないとの見方を示した。13日から市内12の区で3日間にわたる区域PCR検査を通じたスクリーニングを実施することも発表された。
香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市では5月7日から倉庫会社を発端とした感染者の出現が続く。
マカオ特別行政区では5月12日まで214日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月12日までの累計は約119.5万人(無症状含む)、死亡者数は9143人に。12日単日では294人(輸入性40人含む)で、3日連続上昇となったが、12日まで19日連続で500人以下を維持。目立ったリバウンドは発生していない。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。