中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1049人…上海は2日連続1千人以下、6月にかけて順次正常化計画=5/16
- 2022/5/17 11:35
- 香港・大湾区
中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。
中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月17日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月16日の中国本土における新規市中感染確認者数は162人(前日から22人増)だったとのこと。内訳は、上海市77人、北京市43人、四川省16人、河南省11人、天津市7人、吉林省5人、江蘇省1人、福建省1人、山東省1人。このうち上海市の46人、北京市の8人、四川省の2人、江蘇省の1人、山東省の1人の計58人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは213日連続、14日連続で500人以下となった。
市中の無症状感染例は887人(前日から132人減)。内訳は、上海市746人、四川省73人、天津市23人、河南省22人、北京市9人、吉林省6人、青海省3人、河北省2人、江蘇省1人、浙江省1人、安徽省1人。
無症状を含む新規感染者数は1049人で、4日連続2千人以下に。このうち上海市の報告数が823人に上り、全体の78.5%を占めた。
5月16日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は5359人(うち輸入性が182人)で、重症者は343人(輸入性はゼロ)。無症状の患者5万0461人(輸入性452人)が医学観察下にあるとのこと。
中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。
今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態にある。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向にあり、同市では5月中の社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)実現を目標として示している。近日は新規感染確認数が減少しており、市当局は16日の会見で、市内16の区のうち15の区で社会面清零(隔離対象ではない一般市中におけるゼロコロナ状況)を実現でき、封控区(最も厳しい管理下にある封鎖エリア)の総人数は100万人以下になったとした。今後、16日から21日にかけて、新規感染者の減、リバウンド防止を重点とした取り組みを行った後、3レベルの封鎖エリアの縮小、開放を順次進め、6月1日から中・下旬にかけて生産・生活秩序の全面再開させる計画とのこと。15日には、厳格な防疫対策を講じることを条件として、16日から段階的に「復商復市」(ショッピングモール、スーパー、コンビニ、ドラッグストア等商業施設及び飲食店のリアル営業再開)も発表済み。
4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いており、5月16日午後までの累計感染者数は1100人を突破。すでに10回以上にわたって区域PCR検査によるスクリーニングが実施されているが、毎回新たな感染者が見つかっており、依然として社会面(隔離対象ではない一般市中)における伝播チェーンが断ち切れていない状況とのこと。職域クラスターも相次ぎ発生している。
香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市でも5月7日から倉庫会社を発端とした複数の感染者が出現したが、現状では一般市中への拡散はない模様。16日の同省の新規感染者はゼロだった。
マカオ特別行政区では5月16日まで218日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月16日までの累計は119.6万人(無症状含む)、死亡者数は9148人に。16日単日では234人(輸入性42人含む)で、3日連続減少となった。16日まで23日連続で500人以下を維持し、目立ったリバウンドは発生していないものの、直近2週間は200〜300人前後で下げ止まっている状況。また、ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続いており、流行第6波につながる懸念材料となっている。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。