中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1115人…上海は5日連続1千人以下、区を跨ぐ交通が段階的再開へ=5/19

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月20日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月19日の中国本土における新規市中感染確認者数は176人(前日から15人減)だったとのこと。内訳は、上海市88人、北京市50人、四川省20人、天津市8人、河南省4人、広東省3人、吉林省2人、遼寧省1人。このうち上海市の71人、北京市の6人、天津市の4人、遼寧省の1人の計82人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは216日連続、17日連続で500人以下となった。

 市中の無症状感染例は939人(前日から114人増)。内訳は、上海市770人、四川省102人、河南省24人、北京市12人、天津市11人、吉林省9人、安徽省6人、遼寧省2人、浙江省1人、江西省1人、湖北省1人。

 無症状を含む新規感染者数は1115人で、7日連続2千人以下に。このうち上海市の報告数が858人に上り、全体の77.0%を占めた。上海では5日連続1千人以下を維持。

 5月19日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は4906人(うち輸入性が192人)で、重症者は280人(輸入性1人)。無症状の患者4万3766人(輸入性419人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態にある。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向にあり、5月17日までに全市で社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)が実現したとされる。これを受けて、今後、封鎖エリアの縮小、開放を順次進め、6月1日から中・下旬にかけて正常化を図る計画が示された。19日、市当局は新たに22日から区を跨ぐ交通について段階的に再開することも明らかにした。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いている。依然として社会面(隔離対象ではない一般市中)における伝播チェーンが断ち切れておらず、このところはクラスターの発生も相次ぐ。市当局では、目下のところ防疫対策において複雑かつ深刻な状況にあるが、社会面におけるダイナミックゼロコロナ実現の目標を堅持し、的確な対応で伝播チェーンの遮断を目指すとしている。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市でも5月7日から倉庫会社を発端とした複数の感染者が出現したが、一般市中への拡散はない模様。19日の省内の感染確認例はすべて湛江市から報告されたもの。

 マカオ特別行政区では5月19日まで221日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月19日までの累計は119.7万人(無症状含む)、死亡者数は9153人。19日単日では291人(輸入性38人含む)で、3日ぶりに減少となり、25日連続で500人以下を維持した。ここまで目立ったリバウンドは発生していないものの、直近2週間は200〜300人前後で下げ止まっている状況。ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続いているが、19日からソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和を実施され、今後のリバウンドの有無に注目される。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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