香港の新型コロナ新規感染者数243人、2日連続減…隔離検疫ホテル内で交差感染出現か=5/20

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、このところは単日200〜300人程度を行き来しており、下げ止まっている。

 香港衛生当局が5月20日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から48人減の243人(輸入性26人含む)とのこと。2日連続減、かつ200人台を維持。500人以下となるのは27日連続。第5波開始以来の累計感染者数は約119.7万人。新規の死亡報告数は4人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9157人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4など)の感染者も相次ぎ見つかっている。

 また、流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、クラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例もあるほか、多くのエリアの下水検査で陽性や高いウイルス量が検測されているものの、目立ったリバウンドは出現していない。

 当局は20日午後の記者会見で、所定の隔離検疫期間を満了して市中に出た2人が感染確認され、いずれもオミクロン変異株の亜種(BA.2.12.1)に感染していたことを明らかにした。香港の市中でBA.2.12.1が見つかるのは初めて。2人は夫婦で、5月3日に米国から香港へ到着した後、政府指定の隔離検疫用ホテルの1つにあたる「ランカイフォンホテル@カウウーフォン」に滞在し、所定の検疫期間中に受けた検査結果はすべて陰性だったという。10日に隔離検疫解除となり、市中に出た(自宅に戻った)が、翌11日に妻に発熱、咳、鼻水、頭痛の症状が出現。香港到着後12日目に市中の検査センターを訪れた際の検査で夫とともに陽性が判明したとのこと。同ホテルでは5月7日にネパールからインドとシンガポールを経由して香港に到着した父子が検疫4日目と5日目に相次ぎ感染確認されており、米国から到着した夫婦とは別のフロアだったが、同一方向で、ウイルスゲノム解析の結果は一致したことから交差感染が疑われるとし、専門家が詳しい調査にあたっているとした。

 香港では、これまでにも隔離検疫ホテルの交差感染が出現しており、流行第5波のきっかけの1つになったことも記憶に新しい。今回市中で感染確認された夫婦は、隔離解除から陽性発覚までの間、主に自宅のある香港島北東エリアの複数の飲食店等を訪れていたことがわかっており、立ち寄りに居合わせた人に対する強制検査を実施するなどの対応が進められている。

 5月19日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は91.7%(1回目の接種完了)、86.2%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。19日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は3万0557回で、7日移動平均は2万9949回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(72.49%)、70〜79歳(80.49%)、80歳以上(66.36%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港国際空港(資料)-本紙撮影

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