中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1132人…上海は6日連続1千人以下、北京では一部の区で伝播チェーン依然存在=5/20

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月21日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月20日の中国本土における新規市中感染確認者数は181人(前日から5人増)だったとのこと。内訳は、上海市84人、北京市58人、四川省32人、天津市6人、河南省1人。このうち上海市の49人、四川省の15人、北京市の2人の計66人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは217日連続で、18日連続500人以下となった。

 市中の無症状感染例は951人(前日から12人増)。内訳は、上海市784人、四川省77人、河南省38人、天津市17人、北京市12人、吉林省7人、安徽省5人、遼寧省4人、浙江省2人、広東省2人、江蘇省1人、山東省1人、湖北省1人。

 無症状を含む新規感染者数は1132人で、8日連続2千人以下に。このうち上海市の報告数が868人に上り、全体の76.7%を占めた。上海では6日連続1千人以下を維持。

 5月20日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は4715人(うち輸入性が200人)で、重症者は292人(輸入性1人)。無症状の患者4万1812人(輸入性428人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態にある。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落の後、1000人弱で下げ止まっている状況、5月17日までに全市で社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)が実現したとされ、封鎖エリアの縮小、開放を順次進め、6月1日から中・下旬にかけて正常化を図る計画が示された。22日から区を跨ぐ交通について段階的に再開予定となっている。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いている。市当局は20日夕方の会見で、市内の大部分の区では伝播チェーンが寸断されたが、西城、海淀、豊台区などでは社会面(隔離対象ではない一般市中)におけるPCRを検査を通じたスクリーニングで陽性者が出現しており、依然として伝播リスクが存在する深刻な状況との見方を示した。目下、全市で飲食店のイートイン営業や学校の対面授業の一時中止といった措置が維持されている。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、以降は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市でも5月7日から倉庫会社を発端とした複数の感染者が出現したが、一般市中への拡散はない模様。20日の省内の新規感染者2人は広州市と東莞市から報告されたもの。

 マカオ特別行政区では5月20日まで222日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月20日までの累計は119.7万人(無症状含む)、死亡者数は9157人。20日単日では243人(輸入性26人含む)で、2日連続減少となり、26日連続で500人以下を維持した。ここまで目立ったリバウンドは発生していないものの、直近2週間は200〜300人前後で下げ止まっている状況。ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続く中、19日からソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和を実施され、今後のリバウンドの有無に注目される。20日には隔離検疫ホテルにおける交差感染疑い事例も発覚し、当局によるフォローアップが進められている。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ市政署(IAM)は11月21日、マカオ半島のギアの丘(松山)に位置する史跡「松山軍用隧道(…
  2.  マカオ政府衛生局(SSM)は11月22日夜、同日マカオ域内で輸入性デング熱感染を新たに1例確認し…
  3.  マカオ治安警察局は11月21日、他人の身分証を使用してカジノへ入場した上、賭博で獲得した得たポイ…
  4.  冬のマカオの街を美しく彩る毎年恒例のイルミネーションイベント「ライトアップマカオ2024(中国語…
  5.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は11月21日、今年(2024年)10月の訪マカオ外客数(…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  5.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…

注目記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun