香港の新型コロナ新規感染者数270人、前日比20人増…隔離検疫ホテルで新たな交差感染例出現=5/28
- 2022/5/28 18:32
- 香港・大湾区
人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。
2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、このところは単日200〜300人程度を行き来しており、下げ止まっている。
香港衛生当局が5月28日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から20人増の270人(輸入性31人含む)とのこと。第5波開始以来の累計感染者数は119万9227人。新規の死亡報告数は1人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9163人に。
香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。
流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、クラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例があるほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースもあるが、これまでのところ目立ったリバウンドは出現していない。
当局は28日夕方の会見で、新たに隔離検疫ホテル内での交差感染例(オミクロンBA.2)の出現とバーで発生したクラスターが学校に波及したことを明らかにした。
隔離ホテルの交差感染は、新界・沙田地区にあるホテル「コートヤード香港沙田」において同一階の離れた客室間で伝播したもの。きっかけとなった患者が食事の受け取りとゴミを出すため客室のドアを開けた際に、圧力の関係で部屋からウイルスが廊下に漏出し、相手方が同じくドアの開けた際に感染したとみられる。双方とも客室のドアを開ける際にマスクを着用していなかったとのこと。
バーのクラスターは5月21日午後11時から翌日未明にかけて香港島セントラル地区にあるZentralに居合わせた人の間で発生し、これまでに11人の感染が確認されたもの。いずれも面識がなく、店内の離れた位置にいたという。このうち1人(24日夜発症)が中学(日本でいう高校を含む)のバスケットボールのコーチで、発症日の午後の練習に参加した生徒30人中6人が検査で陽性だったとのこと。
5月27日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.0%(1回目の接種完了)、86.8%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。27日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は4万7842回で、7日移動平均は3万6381回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(73.34%)、70〜79歳(80.85%)、80歳以上(67.18%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。