マカオで新型コロナ市中感染例多数出現、カジノ売上への影響必至

 約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロが続いたマカオだが、6月18日深夜から相次いで感染者が見つかっており、20日午後4時までの累計は36人に上る状況。依然として感染源はわかっていない。

 目下、マカオ域内で11ヶ所(ビルや店舗単位)が局地ロックダウンとなり、全市民を対象としたPCR検査によるスクリーニングが実施されているほか、ステイホームの呼びかけも行われている。また、マカオと中国本土の往来に係る水際措置が引き締めとなった。

 マカオでは新型コロナ流行開始初期から厳格な水際措置を講じてきたが、2020年第4四半期までに中国本土との間に限って条件付きで隔離検疫免除での往来が再開となった。ただし、中国本土各地で再流行が散発的に出現する中、遠距離移動を伴う旅行は推奨されず、マカオのインバウンド旅客数は本格的な回復には至っていない。1〜5月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から9.3%減の308万4436人。カジノ売上も低迷が続いており、今年1〜5月累計では前年同時期から44.0%減の237.92億パタカ(日本円換算:約3974億円)にとどまる。

 現在、マカオではステイホームの呼びかけがなされている中だが、カジノ施設は営業を継続している。しかしながら、しばらくの間インバウンド旅客が望めない状況の中、カジノ売上が下振れは必至とみられる。

 複数の金融機関が6月20日、マカオにおける最新の流行状況を反映したレポートを公表。

 シティは、マカオにおける防疫措置の強化が少なくとも7月末まで続くとした上で、今後のカジノ売上の保守的な予測値について、6月は30億パタカ(約501億円)から25億パタカ(約418億円)に、7月は90億パタカ(約1503億円)から30億パタカ(約501億円)にそれぞれ下方修正した。

 ジェフリーズは、インバウンド旅客数に影響が生じるとし、6月のカジノ売上は年初来最低まで下落するとの見通しを示したほか、夏前までに検疫政策を一層緩和するとしていた動きも白紙に戻る可能性があるとした。

 JPモルガンは、2年来で最大規模の感染状況であり、状況が落ち着くまでの数週間については、カジノ売上がセロ近くまで落ち込むと予測。また、最悪の状況を踏まえたマカオのカジノ運営6社のキャッシュバーンと流動性ポジションについて、収入ゼロが長期化し、また追加資金がないと仮定して、SJMホールディングスとサンズチャイナの流動性バッファが9ヶ月、ウィンマカオ、MGMチャイナ、メルコリゾーツが1.5〜2年、ギャラクリーエンターテインメントグループ(GEG)が60ヶ月とし、SJMホールディングスを除いて大きな心配はないとした。同行の推計による6社の毎月のキャッシュバーンはGEGが7200万米ドル(約97億円)、サンズチャイナが1.68億米ドル(約227億円)、ウィンマカオが9000万米ドル(約122億円)、MGMチャイナが6700万米ドル(約90億円)、SJMホールディングスが8000万米ドル(約108億円)、メルコリゾーツが1.18億米ドル(約159億円)。

 20日のマカオのカジノ関連企業の株価は軒並み下落となった。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

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