マカオの新型コロナ市中感染連鎖はオミクロン株派生型「BA.5」…飲食店イートイン営業禁止など対策強化、仮設治療センター稼働へ

 マカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、新たな陽性者の出現が相次いでいる。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月23日午後5時から特別会見を開き、今回のアウトブレイクに関する各種最新情報を発表した。

 同日午後3時までのPCR検査を経て陽性が確定した人の数は累計110人で、同日午前9時時点から横ばい。内訳は女性が73人、男性が37人で、年齢は8ヶ月〜89歳。このうち症状ありが32人、無症状が78人。いずれも重症化には至っていないとのこと。

 陽性者の職業・職種は多岐にわたっているが、23日に新型コロナ指定医療機関となっている仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の特別救急診療科で検体の採取を担当する医療従事者1人の陽性(無症状感染)が確認されたという。業務を通じて感染したかどうかについては調査中。新型コロナの流行開始以来、マカオで医療従事者の感染が明らかとなったのは初めてのケースとなる。

 陽性者は暫定的に5つのグループに大別されるとした(*第4、第5グループが新規追加)。第1グループはマカオ半島中央部の新橋エリアにあるアパート「艷麗大廈」の同じ部屋に居住する海外労働者(すべてミャンマー国籍)13人と関連する55人、第2グループは艷麗大廈の道路を隔てて向かいにあるアパート「達昌大廈」に居住する矯正施設勤務者の家族と関連する38人、第3グループはマカオ半島北部の黒沙環エリアにある「添豊乾洗有限公司」と関連する4人、第4グループがマカオ半島北西の沙梨頭エリアにあるフィットネスクラブ「ODヘルスクラブ」と関連する3人、第5グループがマカオ半島新口岸エリアにあるビル「国際中心」に関連する2人。これらに含まれない8人についてはは疫学調査中。第1、第2、第3、第5グループの間には接点があるとされているが、第4グループについては他グループとの明瞭な関連性が見つかっていないという。

 また、これまでに疫学調査を通じて隔離の対象とされた人の数は4千人超に上っている。24日午前6時からコタイ地区のマカオドーム内の臨時コミュニティ治療センターの一部を稼働させることも発表された。

 マカオでは6月19日正午から全市民PCR検査(義務的)によるスクリーニングが実施され、当初予定通り21日正午に終了。続いて、22日には全市民を対象とした迅速抗原検査によるスクリーニング及びマカオ半島の一部に設定された重点区域内に居住、勤務する人などを対象とした追加のPCR検査が実施され、さらに23日午前9時から39時間にわたって再度の全市民PCR検査を実施中。ここまでの検査を通じて多くの陽性者が発見されており、検査が市中伝播チェーンの寸断に寄与しているとした。

 目下、局地ロックダウン(封鎖及び外出不可)の対象となった場所(ビル及び店舗単位)は計12ヶ所に上る。なお、局地ロックダウンとする基準について、これまでの隔離対象外の陽性者が1人出現から、2人以上出現に変更されるほか、ロックダウン期間についても潜伏期間を考慮して「少なくとも5日間」とされる。

 このほか、23日午後2時半からは賀一誠(ホー・ヤッシン)行政長官臨席の会見も行われた。賀長官は、今回のアウトブレイクはこれまでのものと比較して複雑かつ深刻なものだが、抑制可能な状況にあり、政府として流行拡大阻止に全力を注ぎ、一刻も早い正常化を目指すとした。

 また、感染源の特定には至っていないものの、現在マカオで流行しているウイルス型がオミクロン変異株派生型の「BA.5」である可能性が高いと判明したとのこと。BA.5は中国本土ではなく、英国や米国で流行しているものとし、流入経路の特定が難航しているが、引き続き調査を続けているとのこと。

 BA.5は感染力が強い特徴があるとし、市中における伝播リスクを軽減するため、23日午後5時から飲食店のイートイン営業及び映画館やボーリング場といった屋内レジャー施設、美容院、フィットネスクラブ、スイミングプールなどを閉鎖とする行政長官令が発出された。飲食店については、テイクアウトの営業は可としている。

複数の陽性者の出現により局地ロックダウン対象となったマンションで実施された消毒作業の様子=2022年6月22日(写真:マカオ市政署)

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