香港の新型コロナ新規市中感染確認者数は1840人…輸入性との合計は約2ヶ月半ぶり2千人超に=6/29

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、直近2〜3週間は目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が6月29日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から316人増の1849人。内訳はPCR検査経由が788人、迅速抗原検査経由が1061人。14日連続で1千人超となった。

 輸入性は3人増の155人。このうち65人が空港到着時、63人が指定ホテルでの隔離検疫中、27人が検疫期間を終えて市中に出た後の検査でそれぞれ発見に至ったもの。

 市中と輸入性の合計は前日から319人増の2004人、1千人超となるのは15日連続で、2千人超となるのは4月9日以来のこと。第5波開始以来の累計感染確認数は約123.1万人。

 新規の死亡報告数は2日ぶりにゼロとなり、第5波開始以来の累計死亡者数は9186人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が3ケタに達したほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロン変異株派生型(BA2.12.1など)の伝播につながったケースなどもある。近日も新界・屯門地区のチェルシーハイツ内にある中国料理店「海港酒家(ビクトリアハーバーレストラン)」で40人超のクラスターが出現したばかり。

 29日の学校からの陽性報告数は186校の217人で、3校が学級を跨ぐ伝播が発生したため学級閉鎖を要するとのこと。過去7日間で累計2人以上の陽性報告があった学校は87校に上った。このところ対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況が続く。学校のみならず、近日は高齢者介護施設などグループホームからの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している状況。

 衛生当局は会見の中で、リバウンドの開始時期は6月初旬で、市中に伝播チェーンが存在する中、ソーシャルディスタンス措置の緩和で市民の活動が活発となったことで発生したものとみられるが、(第5波初期の頃と比較して)増加ペースは緩やかで、爆発的な増は出現しておらず、患者の大多数が軽症または無症状であるとした。また、地区別の新規感染者数に大きな偏りはないとのこと。

 6月28日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.6%(1回目の接種完了)、88.6%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。28日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万4320回で、7日移動平均は1万5314回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(75.74%)、70〜79歳(81.77%)、80歳以上(69.08%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港の町並み(資料)—本紙撮影

香港の町並み(資料)—本紙撮影

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