香港の新型コロナ新規市中感染確認者数2611人…自宅隔離中患者に対する管理強化へ=7/11
- 2022/7/11 18:15
- 香港・大湾区
人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。
2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。
香港衛生当局が7月11日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から162人減の2611人、輸入性は33人増の252人だった。
市中と輸入性の合計は前日から129人減の2863人で、4日連続3千人以下。第5波開始以来の累計感染確認数は約126.1万人。
新規の死亡報告数は7人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9206人に。新規の死亡者7人のうち3人が高齢者向けグループホームの入所者だった。
香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。
ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。
11日の学校からの陽性報告数は週末分を含めて627人、11日単日では152人。過去7日間で2人以上の陽性者が出現した学校の数は234校とのこと。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホームからの陽性報告も相次ぎ、小規模なクラスターも出現している。公立病院を所管する医管局の職員の間でも感染例が増えており、11日には新たに45人の感染が明らかになった。
変異株感染例の出現状況については、オミクロンBA.2.12.2感染疑いが新たに36人見つかり、うち19人が感染経路不明。オミクロンBA.4あるいはBA.5感染疑いも19人に上り、感染経路不明は6人とのこと。
このほか、自宅隔離中の感染者に対する管理強化策が講じられることも明らかに。7月15日以降、自宅隔離中の感染者は電子ブレスレットの着用が求められ、自宅から出ないよう管理が徹底されることになる。PCR検査の結果が陽性となった人についても、感染者追跡アプリ「安心出行」で表示されるコードが赤色となり、立ち入り可能な場所に制限がかかるという。
当局では、単日の新規感染者数は5月末に3桁まで下落したが、近日は4桁に上昇し、過去数日は3千人近くに達しており、医療システムに対する圧力も増しつつあるとの見方を示した上、最悪の事態を避けるための最善の備えとして、精度の高い防疫策を講じていくとした。
7月10日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.7%(1回目の接種完了)、89.0%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。10日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は7028回で、7日移動平均は1万3278回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(76.3%)、70〜79歳(81.93%)、80歳以上(69.41%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。