香港の新型コロナ新規感染確認者数が5日連続3千人超…当局「2週間毎に倍増ペース」=7/17

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が7月17日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から220人減の3313人、輸入性は56人減の173人だった。

 輸入性は41の国と地域からの到着者で、最多は英国の45人。他に2桁だったのは米国の17人とタイの14人。

 市中と輸入性の合計は前日から276人減の3486人で、5日連続3千人超。第5波開始以来の累計感染確認数は約128.2万人。

 新規の死亡報告数は4人。71〜94歳のいずれも女性で、うち2人が高齢者グループホームから報告されたケース。第5波開始以来の累計死亡者数は9224人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。状況を踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせとなっており、少なくとも7月27日までは現状維持が決まっている。

 新規の変異株感染疑い例については、BA.2.12.1が43人(うち感染経路不明15人)、BA.4あるいはBA.5が41人(同31人)とのこと。

 6月中旬以降、学校からの陽性報告数は対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホームからの陽性報告も相次ぎ、小規模なクラスターも出現している。

 当局は、新規感染例が緩やかな増加を続けており、2週間毎に倍増するペースとし、香港大学の研究による有効再生産数はおよそ1.7であり、医療施設へのプレッシャーが高まる懸念があるとした。また、学校からの要請報告数と市中感染数はほぼ比例しているが、学校における明瞭なクラスターの発生は見受けられず、生徒、教職員が毎朝登校前に実施するセルフ迅速抗原検査による効果との見方を示した。

 7月16日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.8%(1回目の接種完了)、89.2%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。16日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万5343回で、7日移動平均は1万2258回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(76.63%)、70〜79歳(82.03%)、80歳以上(69.63%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

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