マカオ、厳格な防疫措置が一部緩和へ…カジノも営業再開可能に
- 2022/7/20 20:14
- 社会・政治
人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、ここまで約1ヶ月にわたって陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)
6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入し(感染源不明)、伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとっては大きな脅威だ。政府は高頻度の全市民対象PCR検査や”社会相対静止”といった厳格な防疫措置を講じ、ゼロコロナ目標の達成を目指している。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月20日午後5時から定例会見を開き、6・18アウトブレイクに関する最新情報を発表した。
7月20日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は18人で、4日ぶり増。18人のうち隔離対象(局地ロックダウン対象ゾーン内及び隔離検疫ホテル)から発見に至ったのが前日比6人増の13人、一般市中からが同2人増の5人(濃厚接触者2人、全市民PCR検査及び重点検査対象2人、その他1人)。12日連続で隔離対象から発見に至ったケースが過半数を占め、一般市中からの陽性者数は4日連続1桁を維持。
6月18日以降の累計陽性者は1783人。内訳は女性916人、男性が867人、年齢3ヶ月〜100歳、症状あり(感染確認)が陽性者全体の38.5%にあたる686人、無症状が同61.5%の1097人。肺炎の症状が出現した患者は陽性者全体の約10%で、症状がある人については咳や咽頭痛を含む軽微な症状が主とした。20日の退院者数は83人で、累計では569人に。
20日午後3時までに疫学調査の対象(隔離)とされた人の数は2万2141人に上った。内訳は陽性者1783人のほか、濃厚接触者が3498人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が1万1904人、二次濃厚接触者が1323人、一般接触者が254人、付き添い人が780人。
マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが高頻度で実施されている。7月10〜23日にかけては高頻度の全市民PCR検査が実施されており(2日毎受検、6月19日以降で7〜13回目)、期間中は毎日の迅速抗原検査のセルフ実施も求められる。現在、12回目の検査が実施中(20日午前8時〜21日午後7時)で、20日午後3時まで19万2903人が受検し、うち結果が判明した4万3538人分はすべて陰性で、陽性反応が検出された混合検体(10人分で1本)はなかったとのこと。2週前の第4回以降、回を重ねるごとに混合検体の陽性反応検出数は減少傾向にある。具体的には第4回が94本、第5回が41本、第6回が23本、第7回が17本、第8回が13本、第9回が9本、第10回が5本、第11回が2本。
目下、陽性者が出現した場所(ビル及び店舗単位)に対する局地ロックダウンや各種人流抑制策などが講じられているが、追加の特別措置として7月11日午前0時から”社会相対静止”状態に入った。期間中、社会運営及び市民の生活維持に必要とされる(インフラ、燃料、食料、薬局など)以外の企業・事業場所の運営は停止が求められる。カジノも閉鎖に。また、ステイホームを基本とし、外出は全市民PCR検査受検や業務上必要な場合、生活物資の購入、緊急要件に限るとされ、成人はKN95規格以上のマスクを着用することが求められる。本措置は当初7日間とされたが、5日間延長となり、23日午前0時までの実施に。
マカオ政府は20日午後、全市民PCR検査の結果推移などをもとに、23日午前0時からゼロコロナをより確実なものとするための最終段階「コンソリデーション期」へ移行することを発表。期間は1週間(7月30日午前0時まで)とした。”社会相対静止”の脱却を意味し、ステイホーム推奨や外出時KN95規格以上のマスク着用義務は維持されるものの、カジノ施設を含む商工業活動が同一出勤人数などの防疫要件を満たした上で部分的に再開可能に。路線バスもほぼ全面的に運行を再開するが、乗客数は定員の60%に制限する。コンソリデーション期間中の全市民対象PCR検査は7月30、31日にかけて実施予定。ただし、迅速抗原検査を毎日実施し、結果報告が求められる。また、重点人群(清掃、警備、ビル管理、料飲、フードデリバリー、公共交通機関の運転手、雇い主宅に同居しないホームヘルパー)は1日1回、その他の出勤者は2日に1回のPCR検査受検が必須。当局では、依然として一般市中に潜在的な伝播チェーンが存在する中、状況の変化に応じてコンソリデーション期の延長や”社会相対静止”への逆戻りもあり得るとし、市民に対して引き続き防疫措置への協力を呼びかけた。