オミクロンBA.5流行のマカオ、一般市中からの陽性者が再びゼロに…アウトブレイク発生後2度目

 人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、ここまで約1ヶ月にわたって陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)

 6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入し(感染源不明)、伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとっては大きな脅威だ。政府は高頻度の全市民対象PCR検査や”社会相対静止”といった厳格な防疫措置を講じ、ゼロコロナ目標の達成を目指してきた。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは7月24日午前、6・18アウトブレイクに関する最新情報を発表。

 7月24日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は前日と同数の5人。すべて隔離対象(局地ロックダウン対象ゾーン内及び隔離検疫ホテル)から発見に至ったケースで、一般市中からはゼロ。一般市中からの陽性者がゼロとなったのは2日ぶりで、6・18アウトブレイク発生後2度目となる。

 6月18日以降の累計陽性者は1810人に。

 24日午前8時までに疫学調査の対象(隔離)とされた人の数は2万2899人に上った。内訳は陽性者1810人のほか、濃厚接触者が3543人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が1万2380人、二次濃厚接触者が1360人、一般接触者が253人、付き添い人が786人。

 6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが高頻度で実施されている。7月10〜23日にかけては高頻度の全市民PCR検査が実施され(2日毎受検、6月19日以降で7〜13回目)、期間中は毎日の迅速抗原検査のセルフ実施も求められた。2週前の第4回以降、回を重ねるごとに混合検体(10人分で1本)の陽性反応検出数は減少し、具体的には第4回が94本、第5回が41本、第6回が23本、第7回が17本、第8回が13本、第9回が9本、第10回が5本、第11回が2本、第12回が1本、第13回が2本。

 直近の第13回全市民PCR検査では混合検体2本から陽性反応が検出され、これまでのところ個別検査を経て1人の陽性者の発見に至っている(22日分の一般市中からの陽性者としてカウント済み)。別の1本は23日午後に検出されたもので、個別検査を進めているところとのこと。

 高頻度の全市民PCR検査と迅速抗原検査に加え、7月11日から23日までは特別防疫措置として準ロックダウンともいえる「社会相対静止」が実施された。社会運営及び市民の生活維持に必要とされる(インフラ、燃料、食料、薬局など)以外の企業・事業場所の運営がストップ。ステイホームが基本で、外出は全市民PCR検査受検や業務上必要な場合、生活物資の購入、緊急要件に限るとされ、成人はKN95規格以上のマスクを着用することが求められた。極めて厳格な一連の防疫措置が奏効し、近日は一般市中からの陽性者及び全市民PCR検査の混合検体からの陽性反応検出数が顕著に減少。23日から29日まで、一般市中におけるゼロコロナ状態を確実とするための最終ステージにあたる「コンソリデーション期」へ移行した。ステイホーム推奨や外出時KN95規格以上のマスク着用義務は維持されるものの、カジノ施設を含む商工業活動が同一出勤人数などの防疫要件を満たした上で部分的に再開可能となっている。PCR検査については全市民規模での実施は7月30、31日の2日間のみとされたが、迅速抗原検査は毎日実施し、結果報告が求められるほか、重点対象及び仕事で外出する人については1日1回または2日に1回のPCR検査が必須に。重点対象は随時アップデートされおり、清掃、ビル管理、警備、建設など特定職種従事者、マカオ半島新橋/下環/關閘・祐漢エリアの特定区域内居住・活動者、フィリピン国籍者などが含まれる。

 一般市中からの陽性者がゼロとなる日があるものの、依然としてPCR検査結果の陽性ゼロには至っておらず、市中に伝播チェーンが残存している可能性がうかがえる。政府はコンソリデーション期入りと前後して局地ロックダウンの基準を強化して臨んでおり、伝播チェーンの寸断を急ぎたい意向がみてとれる。

マカオで高頻度実施された全市民対象PCR検査会場の様子(資料)=2022年7月10日(写真:GCS)

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