マカオ、オミクロンBA.5流行で失業率が顕著な上昇…2022年4〜6月期雇用統計

 マカオ政府統計調査局は7月29日、今年(2022年)4〜6月期の雇用統計を公表。総体失業率が3.7%、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)に限った失業率は4.8%だった。

 前回調査(今年3〜5月期)から前者が0.3ポイント(pt)、後者が0.4ポイント上昇(悪化)。マカオでは6月中旬に新型コロナ(オミクロンBA.5)のアウトブレイクが発生し、極めて厳格な防疫措置が講じられた。近日ようやく状況が落ち着いたものの、終息には至っていない状況で、同局は失業率上昇の要因として挙げた。このところ、リーマンショックの影響があった2009年以来の高水準が続く状況。不完全雇用率は0.7pt上昇の4.1%。

 今年4〜6月期のマカオ居住の労働人口は37.81万人、労働参加率は68.3%。就業人口は前回調査から600人減の36.42万人、マカオ居民に限ると400人減の27.55万人。

 失業人口は前回調査時から1100人減の1.39万人。求職中の失業者のうち直前までカジノ・カジノ仲介業と建設業に従事していた人の数が多かった。このほか、初めて職探しをする新増労働力の占める割合は0.4pt上昇の7.0%。

 不完全就業者数は3000人増の1.57万人。防疫措置により一時休業や営業規模の縮小が発生したことによるもので、カジノ・カジノ仲介業と小売で人数が目立って増加した。

 前の四半期との比較では、総体失業率が0.2pt上昇の3.7%、マカオ居民に限った失業率が0.3pt上昇の4.8%。就業人口は7000人減、マカオ居民に限ると3400人減。業界別の就業者数動向についてが、カジノ・カジノ仲介業が3100人減の6.96万人、建設業が3000人減の2.91万人、教育が2400人増の2.14万人。

 今年4〜6月期の就業人口の月給中位数は前の四半期から700パタカ(日本円換算:約1.2万円)減の1万5300パタカ(約25.2万円)、業界別では、カジノ・カジノ仲介業が2万パタカ(約32.9万円)、建設業が1万4800マカオパタカ(約24.4万円)。マカオ居民に限った就業人口の月給中位数は600パタカ減(約1.0万円)の1万9400パタカ(約31.9万円)。

 就業調査の統計対象はマカオ半島、タイパ・コロアン島にある住宅の居住者(学生寮や高齢者入所施設等のグループホームを除く)で、域外からマカオへ越境通勤するマカオ居民及び海外労働者は含まれない。出入境資料を元にマカオ居民及び海外労働者の越境通勤者数は約8.85万人と推計され、これを含むマカオの総労働力は前回調査から5300人減の46.61万人。

 マカオで雇用の調整弁となっているのは海外労働者で、コロナ禍で厳しい経済情勢の中、マカオ政府労工局(DSAL)はマカオ居民の雇用の継続と優先就業を確保するため海外労働者数の調整を行っていることを明らかにしている。DSALの最新統計によれば、今年5月末時点における海外労働者数は16万5253人で、前月末から1358人、前年同月末から7717人のそれぞれ減だった。このところ減少傾向が続いている。

 また、DSALは29日午後に発出したプレスリリースの中で、昨今の就業状況の変化を注視しており、ジョブマッチングやジョブフェアの開催、職業訓練等の実施などを通じて、マカオ居民の就業サポートに継続的に取り組んでいるとした。今年1〜7月にマカオ居民3843人の就職をサポートし、直近のオミクロンBA.5アウトブレイク発生後もオンラインを活用するなどしてジョブマッチングを続けてきたとのこと。

オンラインを活用したジョブマッチングの様子(写真:DSAL)

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