香港の新型コロナ新規感染確認者数がピーク後最多の8千人超に…1万人突破の可能性も=8/25

 人口約730万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が8月24日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から605人増の8282人、輸入性は90人減の297人だった。

 市中と輸入性の合計は前日から695人増の8579人で、8千人超となるのは3月27日以来のこと。第5波開始以来の累計感染確認数は約147.5万人。

 新規死亡報告数は9人、年齢は70〜108歳で、このうち5人が新型コロナワクチンの3回目の接種を済ませていなかった。第5波開始以来の累計死亡者数は9412人に。

 直近の公立病院の入院患者数(新型コロナ感染者)は2234人で、このうち新規の入院患者が331人とのこと。容体は危篤が40人、深刻が30人など。

 入院患者数の増が続く中、21日夜にランタオ島のアジアワールドエキスポ内の臨時病院が再稼働したほか、23日に公立病院における第三段階病床調整プランを発動してコロナ患者用の病床を確保している状況。

 このところの感染増の要因として、主流株がオミクロンBA.5へ置き換わりつつあることが指摘されている。衛生当局は、単日の新規感染者数が8千人を突破し、深刻な状況に転じたとし、増加スピードが速いことから、すぐに1万人を突破する可能性があり、医療システムに大きな負荷がかかることになるとの見通しを示した。こうした中、市民に対して集まって食事をしたり、家族を跨ぐ会合お機会を減らすこと、可能であれば迅速抗原検査キットで定期的に検査を行い、結果が陽性であれば速やかに報告すること、外出時にはマスクをしっかり着用すること、新型コロナワクチンの3回接種を済ませることなどを呼びかけた。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いており、少なくとも9月7日までは現状維持が決まっている。8月初旬には入境者の隔離検疫期間が3日間まで短縮されており、輸入性感染例の増につながること、隔離検疫期間満了後に発見に至るケースが一定数出現することが予想されていた。

 8月24日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.3%(1回目の接種完了)、90.2%(2回目の接種完了)、70.7%(3回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。24日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万9131回で、7日移動平均は2万0148回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3歳以下(8.73%)、3〜11歳(79.69%)、70〜79歳(82.46%)、80歳以上(70.35%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

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