マカオローカルの失業率は5.2%…7〜9月期、前回調査の過去最悪水準からやや改善
- 2022/10/28 21:51
- 産業・経済
マカオ政府統計調査局は10月28日、今年(2022年)7〜9月期の雇用統計を公表。総体失業率が4.0%、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者、いわゆるローカル)に限った失業率は5.2%だった。
前回調査(今年6〜8月期)からいずれも0.3ポイント(pt)下落(良化)。不完全雇用率は横ばいの16.5%。
マカオでは現在まで中国本土に倣ってゼロコロナ政策が堅持されており、流行が長期化する中、ローカルの失業率は過去最悪だった前回調査からやや改善したものの、依然としてリーマンショックの影響があった2009年以来の高水準が続く状況。前回調査で過去最悪の失業率となった要因として、6月中旬から8月初頭にかけて新型コロナ(オミクロンBA.5)のアウトブレイクが発生し、準ロックダウンを含む極めて厳格な防疫措置が講じられたことと新卒者の労働市場への投入時期が重なったことが挙げられる。
今年7〜9月期のマカオ居住の労働人口は37.82万人、労働参加率は68.9%。就業人口は前回調査から100人増の36.30万人、マカオ居民に限ると1700人増の28.00万人。
失業人口は前回調査時から1100人減の1.52万人。新たな職を探す失業者については、直前までカジノ・カジノ仲介業と建設業に従事していた人の数が多くを占めた。失業人口の中で初めての職探しをする人が占める割合は1.1pt上昇の13.1%。
不完全就業者数は100人減の6.25万人。上述の準ロックダウンにより一時休業や営業規模の縮小が発生したカジノ・カジノ仲介業、ホテル・飲食業、小売業従事者が多くを占めた。
6月中旬に出現したアウトブレイクの影響により、前の四半期との比較では、総体失業率が0.3pt、ローカルの失業率が0.4ptのそれぞれ上昇。就業人口は1200人減だったが、マカオ居民に限ると4500人増。主な業界の就業人数動向は、カジノ・カジノ仲介業が3200人減の6.64万人、ホテル・飲食業が2900人減の4.40万人。
今年7〜9月期の就業人口の月給中位数は1万4000パタカ(日本円換算:約25.5万円)で、前の四半期から1300パタカ(約2.4万円)減。業界別では、カジノ・カジノ仲介業が1万6000パタカ(約29.2万円)、建設業が1万4300マカオパタカ(約26.1万円)。マカオ居民に限った就業人口の月給中位数は2400パタカ(約4.4万円)減の1万7000パタカ(約31.0万円)。
就業調査の統計対象はマカオ半島、タイパ・コロアン島にある住宅の居住者(学生寮や高齢者入所施設等のグループホームを除く)で、域外からマカオへ越境通勤するマカオ居民及び海外労働者は含まれない。出入境資料を元にマカオ居民及び海外労働者の越境通勤者数は約8.69万人と推計され、これを含むマカオの総労働力は前回調査から2000人減の46.51万人。
マカオで雇用の調整弁となっているのは海外労働者で、コロナ禍で厳しい経済情勢の中、マカオ政府労工局(DSAL)はマカオ居民の雇用の継続と優先就業を確保するため海外労働者数の調整を行っていることを明らかにしている。DSALの最新統計によれば、今年8月末時点における海外労働者数は15万4032人で、前月末から3791人、前年同月末から1万7092人のそれぞれ減だった。このところ減少傾向が続いている。
また、DSALは28日午前に発出したプレスリリースの中で、昨今の就業状況の変化を注視しており、ジョブマッチングやジョブフェアの開催、職業訓練等の実施などを通じて、マカオ居民の就業サポートに継続的に取り組んでいるとした。今年1〜10月にかけて111回のジョブマッチング機会の提供などを通じ、マカオ居民5153人の就職をサポートしたとのこと。