マカオLRTタイパ線の媽閣駅延伸部で試運転始まる…年内にも開業見込み
- 2023/3/10 9:52
- 産業・経済
マカオ初となる本格的な軌道系大量輸送機関として、2019年12月に新交通システムのマカオLRT(Light Rapid Transit)タイパ線が部分開業した。
現在、タイパ線はタイパフェリーターミナル駅と海洋駅の間の9.3キロメートル、11駅の区間で営業運転を行っており、沿線には陸海空の玄関口のほか、大型カジノIR(統合型リゾート)が密集するコタイ地区、著名観光地のタイパヴィレッジ、高層マンションが建ち並ぶ新興住宅街が存在する。ただし、路線がタイパ島とコタイ地区内で完結しており、マカオ半島との連絡が不便な状況で、利用客数低迷との関連も指摘されている。
当初計画では、暫定的に”終点”となっている氹仔島北西部の海洋駅から西湾大橋(2005年に開通した既存のものだが、鉄道敷設を想定した2層構造で建設されている)を通ってマカオ半島南部の媽閣駅に至るまでのルートがタイパ線であり、早期の全線開業が期待される状況。
未開業部は1駅分で、媽閣駅の建設工事が今年2月27日に完成したばかり。試運転などを経て年内にも開通が実現するものとみられる。
マカオ政府公共建設局は3月9日、すでにタイパ線の延伸部となる媽閣駅までの線路の接続と車両運行システムの設置を終え、段階的に試運転を行っている状況と発表した。
試運転は3段階で実施され、第1段階は媽閣駅及び西湾大橋区間、第2段階は海洋駅までの区間まで延ばし、第3段階では既存の営業区間を含む全線を予定しているとのこと。延伸部は早ければ年内にも開業見込みとされ、いよいよマカオ半島への乗り入れがカウントダウンに入ったといえる。
延伸部開業後、マカオ半島で唯一のLRT駅となる媽閣駅は著名な世界遺産「媽閣廟」のすぐ南側に位置し、LRT駅のほか、バスターミナル、タクシー乗り場、観光バス乗り場、公共駐車場などで構成される交通ハブとして計画されたもの。すでにバスターミナルと公共駐車場はオープンしており、LRTの延伸開業と前後して本来のハブとしての役割を果たすと予想される。
マカオLRT媽閣駅を含む交通ハブの建設費は11億7820万パタカ(日本円換算:約198億円)。工期は当初予定では1238日間だったが、コロナ禍の影響で74日間の遅延が生じた。