話題の「IR(統合型リゾート)」をマカオで体験しよう!
- 2017/9/14 19:28
- コラム
そう遠くない未来に日本にも誕生する可能性が高まってきた「IR(アイ・アール)」。「Integrated Resort(インテグレイテッド・リゾート)」という英語の頭文字を取ったもので、日本では「カジノを含む統合型リゾート」の意味合いで使われるのが一般的だ。昨今、法整備が進むとともに、IR誘致を表明する自治体や参入に名乗りをあげる国内外の企業も相次ぎ、各種メディアを賑わせるホットなキーワードとなっている。
IRといえばカジノばかりがクローズアップされがちだが、実際のところカジノはその構成要素の一部にすぎない。ホテル、小売・飲食のリテール、エステ・スパ・サウナ、コンベンション・エキジビションホール、コンサートホール、レジャー・アミューズメント施設など、ありとあらゆる「リゾート」要素をひとつ屋根の下に集めた複合レジャー・エンターテイメント施設こそが、本来のIRが意味するところ。現時点でIRなるものが日本になく、海外で実際に見聞きした経験でもなければ、その概念や規模感、全体の中に占めるカジノのポジショニングなどをリアルに想像することは難しいく、誤解が多いのも致し方ないといえるだろう。
そもそも、IRという概念は1980年代後半から90年代のアメリカ・ラスベガスで生まれたものとされる。折しも、国内市場の競争激化によって凋落の一途を辿っていた中、当時としては斬新なビジネスモデルだったIRが注目を集め、それまでギャンブル都市・ラスベガスとは全く縁のなかったファミリー層やビジネス層(MICE)といったコアギャンブラー以外の新たな客を呼び込むことに成功。再び活気を取り戻し、現在に至っている。
世界的に大きな注目を集めるIR先進都市がアジアにも存在する。日本から直行便でおよそ5時間の距離にある中国の特別行政区、マカオだ。かつてはどちらかというとダークなイメージが先行するギャンブル一辺倒の都市だったが、21世紀に入って以降、政府主導でラスベガス型のIRを志向する方針を打ち出し、カジノ運営ライセンスの対外開放を実現。ラスベガスや香港資本の運営会社を呼び込み、新興埋立地のコタイ地区を中心に、各社による個性豊かな大型IR施設が次々と誕生するきっかけとなった。以降、「アジアのラスベガス」の呼称にふさわしい複合レジャー・エンターテイメント都市へと変貌を遂げつつある。マカオの年間カジノ売上は2007年に「本家」ラスベガスを抜き去り、現在は約6倍規模にまで達した。
マカオでは、IRのオープンラッシュが続く中、海外(中国本土、香港、台湾を含む)からのインバウンド旅客が急増。面積約30平方キロ、人口約65万人の小さな都市にも関わらず、年間3000万人以上が訪れるアジア屈指の人気観光都市となった。IRは観光客を吸引するのみならず、地元マカオに暮らす人々にとって身近なレジャーの場として定着しており、また就職先としての人気も高い。
いずれのIRの館内も明るく華やかなムードが漂い、ショッピング、食事、エンターテイメント鑑賞を楽しむファミリーやMICE参加目的のビジネスパーソンの姿が多くみられ、いかにもギャンブラーという人の姿は相対的に目立たなくなった印象だ。カジノフロアに一切立ち入らずにステイを満喫することも十分可能な要素が揃う。「百聞は一見にしかず」とあって、もし日本にIRができたら?という視点でマカオのIR巡りをすると、新しい発見もあるだろう。日本からマカオへのアクセスは直行便のほか香港経由も便利。マカオへ来て今話題のIRを先取り体験してみるのも一興だ。
マカオで大型IRが集積するのが埋め立て造成によって誕生したコタイ地区。空の玄関口となるマカオ国際空港から車で約5〜10分の距離に位置する。目下、新交通システム(マカオLRT)の建設工事が進められており、市内各所からの交通アクセスが飛躍的に向上する見込み。マカオでカジノ運営ライセンスを保有する事業者は6陣営あり、いずれもコタイ地区に旗艦施設を展開(一部は工事中)。以下、マカオ・コタイ地区の主要IR施設を簡単に紹介していきたい。