話題の「IR(統合型リゾート)」をマカオで体験しよう!

MGMコタイ

 今年第4四半期オープン予定のIR。敷地面積は約400万平方フィート(約3万7612平米)、総投資額は260億香港ドル(日本円換算:約3675億円)とのこと。カジノのほか、1400室規模のホテル、コンベンション施設、スパ、リテールショップ、料飲施設、多目的シアター「MGMシアター・アット・コタイ」などで構成され、コタイ地区における宝石箱をイメージしたという外観デザインが特徴。純金24Kの金箔3万2000枚を使った高さ11メートル、重さ11トンという巨大なライオン像を設置することでも話題となっている。

 リゾートに併設する飲食店は9つ。世界的に高い評価を受けるペルー・リマの高級店「Maido(マイド)」の料理長を務める日系ペルー人シェフ、ミツハル・ツムラ氏とコラボレーションしたマカオ初の日系ペルー料理店など、世界的に名声を博す4人のシェフとコラボレーションした4つのレストランを含み、クリエイティブで多元的なグルメ体験を提供するとしている。同IRで働くシェフの数は460人超、提供座席数は1365席に上るとのこと。

今年第4四半期のオープン予定となる「MGMコタイ」=本紙撮影

 MGMシアター・アット・コタイの設計を手掛けたのはパフォーミングアーツ及びエンターテイメントデザイン界をリードする存在として知られるSceno Plus社(カナダ・モントリオール)。壁面には室内恒久施設としては世界最大となるテニスコート3面分に相当する900平米の特大4K液晶スクリーン(2800万画素)を備える。座席は10パターン以上のアレンジに対応する可動式で、キャパシティは最大2000席。コンサート、ファッションショー、映画祭、トークショー、クラブイベントなど、様々な用途に対応できるという。

 同シアターでは、開業後に『The Experience』及び『Destiny』と題する2つの映像ショーの定期上映を行うと発表済み。いずれも高精細映像とダイナミックな音楽を融合させたオリジナル作品で、前者は時空を超えたマカオの旅、後者はテレビゲームの世界をそれぞれ疑似体験でき、上映時間はおよそ10分間とのこと。

グランド・リスボア・パレス

 2018年下半期開業予定のIR。「マカオのカジノ王」ことスタンレー・ホー氏が率い、2002年まで40年間にわたってマカオのカジノ経営権を独占していた老舗カジノオペレーターで、「リスボア」ブランドのカジノ施設及び中小規模のホテル内にフランチャイズ方式で衛星カジノを展開するSJMホールディングスが手掛ける施設だ。敷地面積は約7万平米、延べ床面積は約52万平米(駐車場など除く)で、リスボアパレスホテル、アジア初となるパラッツォ・ヴェルサーチホテル、世界初となるカール・ラガーフェルドホテルの3ホテルのほか、カジノ、料飲施設などが入る予定。

2018年下半期オープン予定の「グランド・リスボア・パレス」=本紙撮影

 ここまでざっと見てきたように、それぞれのIRが個性を競い合っており、豊富な選択肢が揃う。

 マカオでは大型IRの開業ラッシュが続く中、客室供給数が急増したことで、ホテル間の競争が激しくなり、客室単価の平準化が進んでおり、本格的なIRを手軽に体験することができる。

 マカオと比較すると施設数は少ないが、アジアにはシンガポールやフィリピン(マニラ)にもIRが存在します。シンガポールといえば、携帯電話会社のテレビCMで一気にメジャーになった船のような形をした屋根が印象的な「マリーナベイ・サンズ」も大型IRのひとつ。その名の通り、米ラスベガス・サンズ・グループ傘下の施設で、豪華さ、規模とも、ずば抜けている。マニラでは、空の玄関口となるニノイ・アキノ国際空港に近いベイエリアに大型IRが相次ぎオープンしている。昨年末にカジノ、今年に入ってホテルがオープンした「オカダマニラ」はユニバーサルエンターテイメント創業者の岡田和生氏がオーナーを務める日系資本とあって注目度が高い。

 日本版IRについては賛否両論があるのも事実。頭の中で想像するのと、実際に自身の目で見て体験した後では、その印象も違ってくるはずだ。施設そのもののもそうだが、館内の雰囲気、客層、働く人たちの表情などを見てみるのも、新たな発見につながるだろう。

 記者はマカオを拠点に生活しているが、IRがもたらすプラス面、マイナス面を比較した際、プラス面が優位と感じている。マカオ政府は広く市民に対して富の還元をする方針を示し、社会福祉や各種補助制度の拡充が進んだほか、雇用機会の拡大、賃金の上昇など、住民が肌感覚で生活レベルの向上を実感できており、治安面についても安定した状態が維持されている。

*記事の内容は取材当時(2017年9月)のものです。

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