マカオの人気スイーツ3選〜エッグタルト・セラデューラ・牛乳プリン〜
- 2015/5/24 20:08
- コラム
西洋と東洋の交差点として独特の文化を育んできたマカオ。食文化についても、南欧のポルトガル料理と中国伝統の広東料理、ポルトガル料理をベースにマカオ、アジア、アフリカ各地の素材や調理法、スパイスなどを取り込んだ大航海時代のフュージョンともいえるマカオ料理がマカオを代表する料理として挙げられる。グルメと言えば、忘れてならないのがスイーツ。こちらはポルトガル系と中華系のものがそれぞれに存在感を示している。中華系のスイーツは、香港の方がメジャーというものも多いので、ここでは、あえてマカオで食べたいものをセレクトしてみた。
エッグタルト
マカオの名物スイーツとして最初に名前が挙がる最もメジャーな存在。サクサクのパイ生地と甘いカスタードクリームの絶妙な食感がたまらない。本来はポルトガル伝統のスイーツなのだが、1989年にマカオ在住の英国人シェフ、アンドリュー・ストウ氏がマカオに紹介したことをきっかけにブームに火が付き、瞬く間にマカオを代表するスイーツとなった。ストウ氏が最初に開店したことでマカオのエッグタルト発祥の店と言われるコロアン島のロード・ストウズ・ベーカリー、そこから派生したマカオ半島の市街地中心にあるマーガレット・カフェ・エ・ナタが二大メジャーブランドといえる。
最近では、ベーカリー、カフェ、土産店など、多くの店がそれぞれ独自のエッグタルトを出すようになり、競争が最も激しいスイーツともいえる。ただし、行列ができるほどの人気となるのは、やはり二大ブランドの店舗のみ。せっかくなら、この2つを食べ比べてみたい。なお、ロード・ストウズ・ベーカリーはマカオ内に複数支店があり、マーガレット・カフェ・エ・ナタは1店舗のみ。
セラデューラ
最近、注目度上昇中のポルトガル系スイーツ。まだまだ日本では馴染みがないが、ホイップした生クリームとクッキーをパウダー状にした層を重ね、冷蔵庫で冷やしたもの。ポルトガル語では「Serradura」と表記し、直訳すれば「おがくず」の意味。たしかに、細かく砕いたクッキーがそう見える。生クリームの部分はアイスクリームのような食感で、ほんのり甘いクッキーの部分と舌の上で絶妙に絡み合う。
エッグタルトは、どの店のものも見た目は似ているが、セラデューラの場合は店によって異なるのが特徴。1つずつカップに入ったもの、ケーキのようにカットしたものに大別される。セラデューラの有名店として知られるのが、グランドラパの中にあるカフェベラヴィスタ。こちらはカップに入ったタイプで、見た目も美しい。タイパヴィレッジのクーニャストリート(官也街)にあるこちらも有名店のビタースイートはケーキタイプ。多くのポルトガル料理のレストランで、デザートメニューのラインナップに入っているほか、最近ではビュッフェレストランのスイーツコーナーでも見かける。
牛乳プリン
中華系スイーツといえば、杏仁豆腐やマンゴープリンといったものを想像する人も多いはず。もちろん、マカオでもそういったものが味わえるわけだが、マカオを代表するとはいい難い。数ある中華系スイーツの中で、マカオを代表するにふさわしい存在といえるのが、牛乳プリンだろう。香港にも複数の支店がある人気の牛乳プリンの専門店で、乳牛のマークでお馴染みの義順鮮奶公司は、実はマカオが本拠地のブランドだ。
牛乳プリンと名の付く商品は日本でも見かけるが、マカオの牛乳プリンは少し趣が異なる。もともと、マカオのすぐ隣にある広東省の順徳という街が発祥と言われ、義順鮮奶公司の牧場もそこにあるという。マカオ名物の牛乳プリンは、まずお椀に入れたミルクを蒸し、その後、ミルクに卵白と砂糖を加えて二度蒸しする製法で、表面に二層の膜ができることから、商品名に「雙皮」と付く。なお、牛乳プリンは「温」と「冷」の2種類あり、あずきのトッピングなどを選ぶこともできる。地元マカオの人は「温」を選ぶのが主流。
エッグタルトやセラデューラを味わえる店のチョイスは多いが、牛乳プリンの場合は、ほぼ義順鮮奶公司の独壇場。支店は市内に複数ある。
*記事の内容は取材当時(2015年5月)のものです。