マカオ当局、福島第一原発の処理水放出計画を注視…禁輸対象エリア拡大も

 マカオの食品安全行政を管轄する市政署(IAM)は6月13日、国連「世界食品安全の日」にちなみ食品安全セミナーを開催。現地の食品業界を中心に業界団体、研究機関、政府部門の関係者らが多数出席した。

 近日、マカオでは東京電力福島第一原発におけるALPS処理水海洋放出設備の試運転開始の報を受けて、日本産食品の安全性に対する関心が高まっている。今回マカオで開催された食品安全セミナーの会場でも、現地メディアから講師として登壇したIAM市政管理委員会代理主席の柯嵐(オー・ラン)氏に囲み取材で本件に関する質問がなされた。

 柯氏は質問に対し、日本の”福島核汚染水”(原語ママ)の海洋放出計画について注視しており、(中国)国家税関総署及び近隣地区と緊密に連絡を取り合い最新動向をフォローしているとした上、もし日本が汚染水の海洋放出を開始した場合、IAMとして(マカオへの)輸入申請モラトリアム(事実上の禁輸措置)の対象エリアを最高リスクの9都県(東京都や千葉県の水産物、野菜、果物を含む)へ拡大し、他の地域から輸入される生鮮食品についても放射線検査証明の添付を必須とし、検査・検疫をパスすることを条件とする可能性も排除しないと回答した。また、IAMとして輸入及び市中で販売されている食品に対する検査を強化し、日本食品の放射線レベル検査のサンプル数及びパラメータを増やす考えも示した。

食品安全セミナーに登壇するIAM市政管理委員会代理主席の柯嵐氏=2023年6月13日(写真:IAM)

 IAMでは、2011年の福島第一原発事故後、福島県産食品を輸入申請モラトリアム対象とする措置を現在まで維持しており、福島県周辺の9都県産の食品についても現行の輸入衛生書類要件への準拠、日本が発行する放射線モニタリング証明及び原産地証明の添付、検査・検疫受検を必須としている。

 マカオと隣接する香港でも、政府が本件に関する部門横断型のチームを編成済みで、厳しい対応を講じる考えを明らかにしている。

 日本政府は香港及びマカオへ向けても汚染水とALPS処理水の違いや安全対策について情報発信を行ってきたものの、上述の通り依然として”核汚染水”や”核廃水”というワードが一般的に使われる現状がある。

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