マカオ、銀行の利益減続くも減少幅は縮小…2023年1〜5月

 マカオ金融管理局はこのほど発出した「貨幣と金融安定評価報告」の中で、今年(2023年)1〜5月のマカオの銀行の利益は前年以来の減少傾向が続いているものの、減少幅は縮小していると指摘。

 今年1〜5月のマカオの銀行の営業利益は前年同時期から5.3%減の65億パタカ(日本円換算:約1112億円)、非金利収入は16.1%増の27億パタカ(約462億円)、今年第1四半期のスプレッド収入は同4.4%減の51億パタカ(約872億円)だった。

 同報告書によれば、昨年の銀行のスプレッド収入及び非金利収入はそれぞれ4.7%、10.9%減で、総収入は6.5%減。スプレッド収入の減少スピードが総収入と比較してやや緩やかだったことから、総収入に占めるスプレッド収入の割合は1.4ポイント上昇の72.6%に。今年第1四半期の非金利収入は前年同時期から16.1%増で、スプレッド収入が4.4%減となった分を完全に相殺し、総収入は1.8%増。結果、総収入に占めるスプレッド収入の割合は4.2ポイント下落の65.5%となった。

 資金コストの増が加速したことを受け、スプレッド収入は一層縮小した。昨年通期の金利収入は前年から31.9%増の579億パタカ(約9903億円)。また、支払利息が70.7%増の363億パタカ(約6209億円)だったため、スプレッド収入は4.7%減の215億パタカ(約3677億円)に。この傾向は今年第1四半期も続き、金利収入は105.9%増だったものの、支払利息の206.9%増を下回り、スプレッド収入は4.4%減の51億パタカ(約872億円)となった。

 マカオの銀行の非金利収入は増加に転じた。昨年、証券投資収入の減少を受けて非金利収入は前年比10.9%減の81億パタカ(約1385億円)にとどまった。このほか、人件費以外のコストが全般的に増加したため、非金利コストが6.1%増の111億パタカ(約1898億円)に。非金利コストの上昇と総収入の下落により、非金利コストの総収入に占める割合は4.4ポイント上昇の37.3%に。今年第1四半期は主に手数料収入に増加がけん引するかたちで非金利収入が前年比16.1%増の27億パタカ(約462億円)となり、また非金利コストは0.1%増の28億パタカ(約479億円)と微増にとどまった。総収入の伸び率は1.8%増と比較的速く、結果、非金利コストの総収入に占める割合は0.6ポイント下落の36.6%となった。

 マカオの銀行の利益は減少したが、減少幅は縮小。昨年のマカオの銀行全体の営業利益は前年比19.1%減の131億パタカ(約2241億円)で、収入減に加えて「IFRS第9号」の導入に伴う引当金要件を満たすための営業費用の増が減少要因。今年1〜5月は営業費用の減少により、営業利益は前年同期比5.3%減の65億パタカ(約1112億円)に。

 昨年通期のマカオの銀行の資金活用度を示す総資産利益率(ROA)は前年同時期から0.2ポイント下落の0.5%、自己資本利益率(ROE)は4.1ポイント下落の10.2%。今年第1四半期は年率換算のROAが0.1ポイント上昇の0.6%、年率換算の同ROEは主に自己資本が税引後純利益を上回るペースで増加したことを受けて0.3ポイント下落の11.8%となった。

マカオ金融管理局ビル(資料)=2020年7月本紙撮影

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