カジノ従業員の憂鬱―遠い家族団欒
- 2014/1/6 12:22
- 社会・政治
マカオのゲーミング(カジノ)産業が急速な発展を遂げる中、ゲーミング産業従事者は現在で8万人にも達し、マカオ最大の職種となった。ゲーミング業従事者が加入する幸運博彩業職工總會傘下の互助組織「ゲーミング業従事者の家」が加入者からの救助を求める相談内容について明らかにした。
1月5日付地元有力紙「澳門日報」が一面トップで報じた。「ゲーミング従事者の家」によると、2013年の一年間に790人が救助相談を行ったという。相談内容のうち全体の約62%が「個人の情緒に関する問題」で、次いで「仕事」と「賭博」だった。生活圏が狭い、勤務シフト、仕事の非柔軟性などが情緒不安定の要因につながっているとしている。
最新の統計によると、ゲーミング産業従事者数は2.9%増えて8.5万人にも達し、自身の親戚や友人にゲーミング業従事者がいるという状況が当たり前となった。ゲーミング業従業員は表向き恵まれているように見えるが、実際には苦悩を抱えているようだ。
「ゲーミング業従事者の家」の黄艶芳主任によると、昨年同組織に救助を求めた800人近い加入者のうち、大半が30歳以上だったという。個人の情緒に関する問題が約62%と大多数を占め、男女関係や感情、一部にはシフト勤務による伴侶との時間の擦れ違いなどがみられた。このほか、シフト制勤務、顧客の態度の悪さなどによる業務環境に起因するストレスが約11%、ギャンブル中毒が約10%、家族の連携、子供の世話、夫婦関係などの家庭に関する問題が8%を占めた。
幸運博彩業職工總會の梁孫旭副理事長によると、カジノ業には仕事の融通が利かない、環境が複雑、シフト制勤務など独特の仕事の特徴があり、過去には従業員も「家族断ち」を自認していたという。現在では出勤・退社時間については多少人道的になってきたものの、従業員の生活範囲は依然として狭く、家族以外に交際する相手は話題と勤務スタイルを共有できる同業者や同僚に限られることから、価値観が画一化してしまうという。また、シフト勤務では伴侶との擦れ違いが多くなることから、同じ時間を過ごして喜怒哀楽の感情を共有する機会が少なくなることも、個人の情緒に関する問題を引き起こす要因として挙げられるとする。
夫婦とも、どちらか一方がカジノディーラーなどゲーミング業のシフト勤務職種に従事している場合、家族団欒を楽しむのが難しい現状となっているようだ。