営業距離世界最短のマカオ・松山ロープウェイで救助訓練実施…事故発生時の緊急対応能力強化目的

 マカオは長く本格的な鉄道が存在しなかったが、2019年12月に新交通システム「マカオLRT」タイパ線の一部が開通した。このほか、広義の意味での鉄道としては、鋼索線の「松山ロープウェイ(中国語表記:松山纜車)」が存在する。

 マカオ消防局は9月26日、同月25日に松山ロープウェイにおける事故発生時の緊急対応能力強化を目的に、同線を運営する市政署と合同で救助訓練を実施したと発表。

 訓練は故障に伴い3人の乗客がゴンドラ内に閉じ込められたというシナリオで行われ、ロープウェイ職員が内部緊急対応マニュアルに従ってバックアップシステムを作動するも故障の解決には至らず、消防に救援を要請し、通報を受けた消防が緊急車両5台と隊員23人を出動させ、ハシゴ車と高空救助隊が乗客3人を救出し、初期治療を施した上で病院へ搬送する手順を約30分にわたって確認。訓練は円滑に進み、事前に設定した目的と成果を挙げて終了したとのこと。

松山ロープウェイで実施された救助訓練の様子=2023年9月25日(写真:マカオ消防局)

 松山ロープウェイは、マカオがポルトガルから中国に返還される2年前にあたる1997年に営業を開始。マカオ半島北部の旧市街エリアにあるフローラ公園(二龍喉公園)内にある駅とマカオ半島で最も標高の高いギアの丘(松山または東望洋山)の山頂近くにある駅の間を結ぶ。営業距離はわずか186メートルで、ガイドブック等では「世界最短」として紹介されることも多い。

 乗車時間は片道約1分20秒と非常に短いが、マカオ旧市街地独特の景観を望むことができる。ギアの丘にある世界遺産・ギア要塞へのアクセスにも便利とあり、観光客や市民の間でも身近なアトラクションとして親しまれている。

 松山ロープウェイの運転時間は午前8時から午後6時までとなり、毎週月曜日は運休(祝日と重なる場合は翌日休)。運賃は片道2パタカ(日本円換算:約37円)、往復3パタカ(約56円)。

松山ロープウェイで実施された救助訓練の様子=2023年9月25日(写真:マカオ消防局)

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