マカオ、模擬紙幣を使った両替詐欺が2日連続発生…中国人の男女2人逮捕、2件合計被害額約1千万円
- 2023/11/25 13:15
- 社会・政治
マカオ司法警察局は11月24日、同月21日と22日に「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニング用の香港ドル模擬紙幣が使われた両替詐欺が各1件発生し、中国人(中国本土居民)の男女各1人を逮捕するとともに、練功券を200枚ずつ、計400枚を押収したと発表。
同局によれば、被害者は2人で、被害額は合計約48万人民元(日本円換算:約1012万円)に上ったとのこと。
21日の事案は、被害者が香港ドルを調達するためSNSのチャットアプリを通じて「換銭党」と呼ばれる違法両替商の女と両替に関する協議を行い、タイパ島にあるホテルの客室で面会して取引を行った際、被害者が相手方指定の銀行口座に人民元を送金した後、女が香港ドルの札束2つを渡してすぐに現場を立ち去ろうとしたといい、これを怪しいと感じた被害者が受け取った紙幣を確認したところ、最上部の1枚のみ真券で、残りはすべて練功券だったという。
被害者から通報を受けた警察官が現場へ急行し、現場で200枚の練功券を発見、押収するとともに、違法両替商の女を逮捕。女は同局の調べに対し、成功報酬を目当てに他人の指示を受けて練功券をマカオへ持ち込み両替を行ったとし、練功券とは知らなかったと供述。また、女は逮捕時に中国本土の偽造身分証を4枚所持していたが、これについての説明は拒否しているとのこと。
22日の事案についても、経緯はほぼ同様。同じく、被害者が送金後に手渡された紙幣のうち最上部の1枚のみが真券で、逮捕された男は成功報酬を目当てに他人の指示を受けて練功券をマカオへ持ち込み両替を行ったが、練功券とは知らなかったと供述したという。
同局は上述の2人について、相当巨額詐欺罪で検察院送致済みとした。
マカオのカジノでプレイする際には主に香港ドルが用いられることから、中国本土から人民元を持ち込む旅客にとって香港ドルとの両替が必要となるケースがある。
練功券は通貨としての価値がなく、一般に流通しているものではない。これまでもマカオではこれを用いた詐欺事件がしばしば発生していたが、前月下旬以降からは頻発している状況で、同局が累次の注意喚起を行っている。
昨今マカオのカジノ施設内外においては換銭党が暗躍し、これにまつわる各種犯罪も頻発しており、警察当局が換銭党を社会及びカジノにおける治安悪化の元凶と位置付け、度々大規模掃討作戦を展開するなど、取り締まりを強化して臨んでいる。