マカオで今年11例目の在郷軍人病感染確認…患者は70歳男性、重症

 マカオ政府衛生局(SSM)は12月16日夜、同日マカオで今年(2024年)11例目となる在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)感染確認があったと発表。

 患者は慢性疾病のあるマカオ人の男性(70)で、12月12日から発熱、咳、息切れの症状が現れたが、医療機関を受診しておらず、15日に熱は下がったものの咳が続く中、自宅で失神を起こして公立総合病院の仁伯爵綜合醫院に救急搬送されたとのこと。同院における補助検査で右上葉の肺炎が認められ、16日に患者の痰から採取したサンプル検査でレジオネラ・ニューモフィラ抗原陽性であることが明らかとなり、在郷軍人病と診断されるに至ったとのこと。目下、患者は重症で、入院治療を受けているという。なお、患者の潜伏期間中の渡航歴については未公表。

 SSMによれば、在郷軍人病はレジオネラ属菌が引き起こす感染症の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられているとのこと。病名の由来は1976年に米国フィラデルフィアで開催された在郷軍人大会で集団発生したことによる。レジオネラ属菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。

 マカオで在郷軍人病の感染者が見つかるのは極めて稀なケースだが、今年については3月に1人、4月に4人、5月に1人、8月に1人、9月に1人、10月に1人、11月に2人、12月に1人(今回のケース)の感染確認があり、このうち8人が潜伏期間中に中国本土または香港滞在歴があった。近年の感染確認例は2023年が1人、2022年が1人、2021年が3人、2020年が6人、2019年が2人、2018年が5人。

 SSMは今回の発表に合わせ、水回りや加湿器、呼吸器用医療機器の使用にあたっての注意などを挙げ、広く公衆に対して適切な在郷軍人病予防策を講じ、感染リスクを軽減するよう呼びかけた。

マカオの公立大型総合病院、仁伯爵綜合醫院(資料)=本紙撮影

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