マカオ出身の現代美術家シーズン・ラオ氏が東京大学の芸術と哲学をめぐるシンポジウムに登壇

 きのう(1月8日)、東京大学駒場キャンパスにて、日本を拠点とするマカオ出身の現代美術家、シーズン・ラオ(劉善恆)氏を招いての、芸術と哲学をめぐるシンポジウムが開催された。

 当シンポジウムの主催者である東京大学東アジア藝文書院は、東京大学と北京大学が共同で運営する、「リベラル・アーツとしての東アジア学」を新たに構築する研究・教育プログラムだ。

 当シンポジウムでは、登壇者である東京大学教授Ching Yuen Cheung氏、京都大学の哲学研究者Romaric Jannel氏、東京大学の哲学研究者髙山花子氏、日本で初めて現代美術を取り扱った画廊として知られる東京画廊の代表山本豊津氏を交え、ラオ氏のこれまでの作品、そして、新作となる西田幾多郎記念哲学館の瞑想空間(安藤忠雄設計)で発表されたインスタレーション・パフォーマンス作品「虚室・生白」に対して、哲学と現代美術それぞれの視点から議論が展開された。

西田幾多郎記念哲学館での「虚室・生白」(写真:東京大学東アジア藝文書院)

 登壇したRomaric Jannel氏は、「虚室・生白」が日本の近代哲学の先駆者である西田幾多郎の初期哲学「主客未分」、「無」と共鳴する視点を持つことを示唆し、また山本豊津氏は、東京画廊の75年にわたる歴史と日本の現代美術史を振り返る中で、モノ派、単色画などを例に挙げ、東アジアの文脈を紹介した。

 なお、マカオに所在するマカオ芸術博物館で昨年(2024年)12月から開催中のコレクション展「New Perspectives: Modern and Contemporary Works from the Macau Museum of Art(新像——藝博館藏現當代藝術展)では、初期のシーズン・ラオ氏の作品が展示されている。会期は今年(2025年)5月25日まで。

中央:シーズン・ラオ氏、右から二人目:山本豊津氏、右から一人目:Ching Yuen Cheung氏(写真:東京大学東アジア藝文書院)

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