マカオで今年初の在郷軍人病感染確認…患者は外遊歴ない71歳男性、重症

 マカオ政府衛生局(SSM)は2月27日夜、同日マカオで今年(2025年)第1例目となる在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)感染確認があったと発表。

 患者は慢性疾病を持つマカオ人の男性(71)で、2月22日から痰が多くなったが、医療機関を受診することはなく、25日に発熱と息切れの症状が現れたため、私立総合病院の鏡湖醫院へ緊急搬送。同院での検査で両肺の肺炎が認められ、人工呼吸器の使用を要する状況に。同日、公立総合病院の仁伯爵綜合醫院へ転院し、27日に患者の痰から採取したサンプル検査でレジオネラ・ニューモフィラ抗原陽性であることが明らかとなり、在郷軍人病と診断されるに至ったとのこと。目下、患者は重症で、入院治療を受けているという。なお、患者は潜伏期間中に外遊歴がなく、同住の家族に体調不良の者は出ていないとした。

 SSMによれば、在郷軍人病はレジオネラ属菌が引き起こす感染症の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられているとのこと。病名の由来は1976年に米国フィラデルフィアで開催された在郷軍人大会で集団発生したことによる。レジオネラ属菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。

 マカオで在郷軍人病の感染者が見つかるのは極めて稀なケースだが、昨年(2024年)については3月に1例、4月に4例、5月に1例、8月に1例、9月に1例、10月に1例、11月に2例、12月に1例の感染確認があり(計10例)、このうち8人が潜伏期間中に中国本土または香港滞在歴があった。近年の感染確認例の推移は2023年が1例、2022年が1例、2021年が3例、2020年が6例、2019年が2例、2018年が5例。

 SSMは今回の発表に合わせ、水回りや加湿器、呼吸器用医療機器の使用にあたっての注意などを挙げ、広く公衆に対して適切な在郷軍人病予防策を講じ、感染リスクを軽減するよう呼びかけた。

マカオの公立総合病院として知られる仁伯爵綜合醫院(資料)=2025年2月本紙撮影

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