マカオで今年2例目の在郷軍人病感染確認…患者はインバウンド旅客、重症
- 2025/3/23 18:48
- 社会・政治
マカオ政府衛生局(SSM)は3月22日夜、同日マカオで今年(2025年)2例目となる在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)感染確認があったと発表。
患者は慢性疾病を持つインバウンド旅客(外国人)の男性(58)で、同月10日から家族とともに中国本土を旅行で訪れ、11日に発熱の症状が出現し、当地の医療機関を受診したが、以降も症状は持続。その後、19日にマカオへ入り、同日夜に息切れの症状が現れ、20日に公立総合病院の仁伯爵綜合醫院を受診し、同院での検査で両肺の肺炎が認められ、人工呼吸器の使用を要する状況に。21日に患者の呼吸器から採取したサンプル検査でレジオネラ・ニューモフィラ抗原陽性であることが明らかとなり、呼吸不全を伴う在郷軍人病と診断されるに至った。目下、患者は重症で、入院治療を受けているが、同行の家族に体調不良の者は出ていないという。
SSMによれば、在郷軍人病はレジオネラ属菌が引き起こす感染症の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられているとのこと。病名の由来は1976年に米国フィラデルフィアで開催された在郷軍人大会で集団発生したことによる。レジオネラ属菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。
マカオで在郷軍人病の感染者が見つかるのは極めて稀なケースだが、昨年(2024年)については3月に1例、4月に4例、5月に1例、8月に1例、9月に1例、10月に1例、11月に2例、12月に1例の感染確認があり(計10例)、このうち8人が潜伏期間中に中国本土または香港滞在歴があった。近年の感染確認例の推移は2018年が5例、2019年が2例、2020年が6例、2021年が3例、2022年が1例、2023年が1例。
SSMは今回の発表に合わせ、水回りや加湿器、呼吸器用医療機器の使用にあたっての注意などを挙げ、広く公衆に対して適切な在郷軍人病予防策を講じ、感染リスクを軽減するよう呼びかけを行った。
