台湾とマカオの間で双方向地下送金・為替サービスを提供していたとし、台湾の台北地検は銀行法違反などの罪でカジノ仲介業者、勵盈國際社の関係者ら4名を送検した。8月7日付の台湾有力紙「中國時報」などが報じた。
勵盈國際社は台湾で設立された香港資本の企業で、「マカオで賭博、台湾で精算」という地下双方向送金・為替サービスを展開していたという。およそ3年の間に送金された金額は54億台湾ドル(日本円換算:約183億円)以上とみられる。また、検察当局は同社の複数の銀行口座に入金されていた29億9,366万台湾ドル(約101億円)を差し押さえており、没収となる見通し。
起訴状によると、勵盈國際社は1998年6月に台湾で登記され、マカオの六大カジノ企業の一角、メルコ・クラウン・エンターテインメント社から委託を受け、台湾のギャンブラーを同社傘下のシティ・オブ・ドリームズやアルティラ マカオのカジノへ送客する役割を担っていたという。
台湾では出入境の際に無申告で持ち込み、持ち出しできる金額を6万台湾ドル(約20万円)あるいは外貨で1万米ドル(約100万円)相当以下と規定されている。勵盈國際社では、この規定をかいくぐるため、顧客に先に台湾の口座に資金を振り込ませ、マカオ到着後に香港ドルまたはマカオパタカを引き出せる、またその逆の送金・為替サービスを展開していた。また、為替差から利益も得ていたという。台湾検察当局はこれを地下銀行にあたるとし、銀行法違反罪を適用した。
検察当局は勵盈國際が抱える数百人という顧客リストの中には台湾の有名タレントや政治家、企業家なども含まれていることも明らかにしている。