中国・広東省珠海市とマカオの間に位置する珠海・マカオクロスボーダー工業区(珠澳跨境工業區)が新たな麻薬密輸ルートとして利用されている実態が明らかになった。
マカオ司法警察局は11月5日、工業区内でマカオ籍の22歳の無職の男をコカイン及び大麻、末端価格にして8万5千パタカ(日本円換算:約121万円)相当を所持していた疑いで逮捕した。男は入手元や販売先について黙秘しているとのこと。
珠海・マカオクロスボーダー工業区はマカオ半島北西の青洲地区と川を隔てて対岸にあたる珠海市拱北茂盛圍の間にあり、総敷地面積は約0.4平方キロメートル。工業区のマカオ側、珠海側ゲートにはそれぞれ出入境施設が設けられているが、工業区への出入りできるのは区内に進出する企業関係者に限られる。マカオと珠海の間を24時間往来できる唯一の出入口でもある。今回逮捕された男は、区内の企業関係者のみに発給される「通行許可証」を所持していた。
マカオは薬物犯罪に対する罰則が近隣地区より緩いことから、アジアにおける麻薬の密輸拠点になっているとも指摘されている。マカオ当局では水際対策に力を注いでいるが、利用者数の多い他のイミグレーション施設と比較して、クロスボーダー工業区が穴場になっていた可能性もある。
逮捕された男は工業区に出入りするための通行許可証を所持していたが、実際には区内の企業に勤務しないことも判明している。この許可証は今年(2014年)9月に発行されたもので、有効期間は1年間だった。
マカオのTDMラジオニュースなどの報道によると、スマートフォンアプリなどを通じて宣伝を行っている中国本土の通行許可証代理業者がおり、費用はおよそ3〜5千パタカ(約4万3千〜7万1千円)、手続きにかかる日数は3日以内という。
司法警察局では麻薬密売グループによる組織的犯行の可能性もあるとして、薬物及び通行許可証の流通経路、容疑者の背後関係について捜査を進めて行くとしている。