1999年にポルトガルから中国へ返還されて以来、マカオ最大となるカジノ高利貸事件の初級法院での裁判が11月22日に結審した。この事件は、マカオの高利貸グループが14年前から黒社会(反社会的集団)を背景に持つ商人を操り、貸付け、利息及び元本の回収、債権者の監禁、債権者の追跡などを行っていたとされるもので、貸出総額は5億パタカ(日本円換算:約75億円)に上る。
初級法院の蕭偉志裁判官は、黒社会との関係性については確証がないとしたものの、高利貸行為、組織的犯行であることが認められるとし、主犯格で商人の李志洪被告(44歳・男)に懲役16年の実刑判決を下した。グループメンバーの男女14人については、2人が無罪、残る12人がそれぞれ5ヶ月〜4年の懲役、カジノ入場禁止2〜4年などの刑となった。
この高利貸グループは2000年6月からカジノ客を対象にした高利による貸付けをスタートし、返済不能に陥った客に対して厳しい取り立てを行っていたという。マカオ司法警察局が3年にわたる捜査を経て、昨年(2013年)6月25日に大規模掃討作戦を実施し、関係者の逮捕、2500枚の借用書と100冊の帳簿などを押収することに成功していた。
司法警察局の調べによると、同グループは顧客がカジノでベットする金額の1〜3割、チップ交換時に3割などを元本及び利息として回収していたという。
マカオでは、同種のカジノ高利貸し事件が金額の大小を問わず頻繁に発生している。本紙がマカオのカジノ仲介人の関係者に話をきいたところ、そのほとんどが中国本土出身の個人またはグループが、中国本土からマカオのカジノを訪れたギャンブラーを食い物にしているという。中国人はもともと博打好きで知られるが、高利貸の被害に遭う人は「自分だけは勝てる」と思っている自信家が多いとのこと。債務をカジノゲームの勝ちで返済できない場合、中国本土の親戚縁者が金を用立てて返済せざるを得ないという。現状は中国人同士が加害者と被害者になっているケースがほとんどで、日本人やマカオ人はターゲットになっていないと話す。