マカオのゲーミング(カジノ)産業が急速に発展を遂げる中、ギャンブル依存症が社会的関心事となっている。マカオ政府で社会福祉行政を管轄する社会工作局の胡綺梅コーディネーターは、現在、マカオ市民のおよそ1万3千人がギャンブル依存の状態にあると指摘する。
11月24日付地元有力紙「澳門日報」が報じた。胡綺梅コーディネーターによると、2005年11月に政府社会工作局傘下のギャンブル依存症対策センター「志毅軒」を開設して以来、これまでにおよそ700件の救助を求める通報があったとのこと。このうち、カジノ従業員によるものが大半を占めたことから、政府ではカジノ従業員を専門にカウンセリング、生活教育、研修などを行う対策センターを来年(2015年)を目処に新設すべく準備を進めているという。
一般のマカオ市民にとってカジノは非日常の場所という認識が強く、一定の距離を置いて生活している。しかし、カジノ従業員は就業時間をカジノ施設内で過ごさざるを得ない。特に、ディーラー職はカジノフロアが職場となり、独特の華やかな雰囲気の中に身を置くことに慣れ、大金を賭けた勝負を日々目の当たりにすることで金銭感覚が麻痺してしまいがちという。また、24時間営業が基本のカジノではシフト制勤務が一般化しており、他業種従事者との時間的すれ違いから同業者同士で固まる傾向もあるという。
マカオ政府統計調査局が発表した今年(2014年)第2四半期末の統計データによると、マカオのゲーミング業従業員数(カジノ仲介人、仲介協力者含まず)は5万7550人で、同時期のマカオの総人口62万4000人の約9.2%、7-9月の就業人口39万2100人の14.7%を占める。
マカオ政府の歳入の8割以上をカジノ税収が占めるなど、ゲーミング産業がマカオ経済を支える屋台骨となっている。
マカオでは、政府関連部門やゲーミング各社がマカオ市民やマカオを訪れる観光客に対してギャンブルに対する正しい知識の周知、自己抑制の必要性などを説く「レスポンシブルゲーミング(責任あるゲーミング)」を近年積極的に推進している。