密航船月間20回運航の蛇頭メンバー4人逮捕=中国本土カジノ客らのマカオ不法入境を斡旋

マカオ司法警察局は12月13日午前11時に記者会見を行い、中国本土とマカオの間で不法入境者の輸送などを斡旋したとして、蛇頭グループのメンバー4人を逮捕したことを明らかにした。

逮捕された4人のうち、主犯格と思われる42歳の男がマカオ居民(マカオ居留権保有者)、残る3人はいずれも中国本土出身者だった。このグループでは、およそ半年間にわたって、毎月平均20回程度の頻度で密航船を運航していたという。

12月12日、司法警察局がカジノ遊びを目的とした40代の中国本土出身の男1人が同グループの斡旋でマカオへ密航するとの情報をキャッチ。捜査員らが追尾を行い、男がグループメンバーとともにマカオ半島中区のホテルに入ったところで、検挙行動を実施した。ちょうどその時、現場では密航費の受け渡しが行われていた形跡があったといい、捜査員がメンバーらを逮捕するとともに、カジノチップ及び約30万パタカ分の現金を押収した。

司法警察局の調べによると、この蛇頭グループは密航の斡旋料として1回約5000パタカ(日本円換算:約7万4000円)を客から受け取っていたという。船には複数人の乗客を載せていたとみられるが、客が1人の場合、2万5000パタカ(約37万円)で「貸切」とするサービスも提供していたとのこと。

司法警察局では、グループがどのようにして客集めをしていたのか、その他のメンバーの有無など、捜査を継続していくという。

なお、今回の蛇頭グループが密航の拠点としていたのは、マカオ半島北部の海に面した公園近くだったという。対岸で埋め立て工事が行われていることから、小舟の往来が多く、密航が発覚しにくいと判断した可能性が指摘されている。これまで、密航船はタイパ島やコロアン島の人目がつきにくい場所を選ぶことが多かった。

マカオでは、今年(2014年)上半期の不法滞在者が3.7万人に達しており、大きな社会問題となっている。

中国に返還されてまもなく15周年を迎えるマカオだが、中国本土とマカオの間にはボーダー(イミグレーション)が設置されている。中国本土籍の旅客がマカオを訪れる場合、ビザを取得する必要がある上、一定期間内の渡航回数などに制限が設けられているなど、ハードルが高い。しかし、常連ギャンブラー、カジノチップ両替商、カジノホストと呼ばれるVIPルームのエスコート役などの間で一定のマカオ渡航需要があるとされ、蛇頭の提供する密航サービスを利用しているとみられる。

コロアン島で発生した別の不法入境事案でマカオ税関が拿捕、押収した蛇頭の密航船(資料写真)=2014年6月(写真:澳門海關)

コロアン島で発生した別の不法入境事案でマカオ税関が拿捕、押収した蛇頭の密航船(資料写真)=2014年6月(写真:澳門海關)

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