習近平主席夫妻歓迎晩餐会、高級食材使わず倹約ムード演出=マカオ返還15周年記念行事
- 2014/12/20 17:26
- 社会・政治
マカオ返還15周年記念式典に出席するため、中国の習近平国家主席夫妻ら中央政府代表団が昨日(12月19日)正午頃、マカオへ到着した。同日夜、マカオ政府による習主席夫妻の歓迎晩餐会がマカオドームの特設会場で開かれた。こういった場では、華やかな雰囲気と高級食材をふんだんに使ったメニューが並ぶ光景を想像してしまうが、実際には真逆だったことが現地で話題となっている。
本紙が入手したメニューリストによると、晩餐会で出されたのは中国料理のフルコースで、一般向けとベジタリアン向けの2種。どちらも、前菜盛り合わせ、メイン4品、フルーツ盛り合わせの流れ。アルコールはポルトガル産ワインの赤(Marques de Borba Reserva Tinto 2008)、白(Conde D’Ervideira Reserva 2012)それぞれ1種ずつ、ドリンクはコーヒーまたは中国茶という選択肢。
中華料理のフルコースといえば、アワビ、フカヒレ、ロブスター、燕の巣といった高級食材をふんだんに使った豪華絢爛なものが想像されるが、今回のメニューには、全くそういったものが見当たらなかった。メインの4品で使われた食材は、豚肉、チキン、白身魚、チマキといった、なんとも庶民的なラインナップ。それぞれのメニューには、中国らしくゲンを担いだ吉祥名が付けられ、シェフの技により美しい見た目の料理に仕上げられていたという。ちなみに、リストにあった2種類のワインの価格をポルトガルの通販サイトで調べたところ、1本あたり赤が約30ユーロ(日本円換算:4400円)、白が約8ユーロ(約1200円)となっていた。
また、会場も高級ホテルの宴会場などではなく、公営のマカオドーム内の特設会場となり、デコレーションもシンプルそのものだった。
中国といえば、メンツや見栄を重視するお国柄というのはご承知の通り。マカオ返還15周年という祝賀の場で、あえて倹約ムードを演出したのは、マカオが「身内」だからというのもあるが、別の理由が見え隠れする。習主席といえば、2013年3月の政権発足以来、汚職に対する取り締まりや贅沢禁止など綱紀の引き締め政策を積極的に推し進めてきたことで知られる人物だ。マカオのカジノ売上が、今年(2014年)6月以降、6か月連続で前年割れとなっているのも、この動きが大きく影響しているものとみられる。マカオのカジノ売上の大半を占めるVIPルームの主要顧客こそ、中国本土の富裕層だからだ。
今回の晩餐会メニューを通じ、習主席があらためて中国本土の富裕層に向けた無言のメッセージを発したとも受け取れる。マカオのカジノ売上の回復には、しばらく時間がかかるかもしれない。習主席は20日の演説で、マカオに対して「経済多角化の推進による持続可能な発展」を求め、政府はカジノ高依存体質からの脱却を早期に実現する必要に迫られている。