今年マカオの住宅価格10%下落見通し=カジノ経済減速など要因
- 2015/1/2 8:10
- 産業・経済
昨年(2014年)のマカオの住宅価格を振り返ると、最高30%上昇した時期もあったが、通年では10%程度の上昇で幕を閉じた。その理由として、下半期からカジノ経済の減速が始まったこと、より住宅価格の安い広東省珠海市との間で24時間通関が実現したことなどが挙げられる。
マカオの日刊紙「澳門日報」が1月1日付紙面で報じた。マカオ政府財政局が昨年(2014年)12月31日に発表した昨年11月の住宅売買・移転にかかる不動産印紙税統計によると、同月の契約件数は475件、実用面積1平米あたりの住宅価格は9万1731パタカ(日本円換算:約137万円)だった。契約件数は前月から12.8%の増となったが、前年同月比では40%の大幅減。価格については、前月比13.7%、前年同期比7.5%の上昇。
マカオ不動産業協会の鍾小健会長は、2014年下半期からカジノ経済が減速していることに加え、12月からマカオと珠海市の間で通関24時間化が実現したことが、マカオの住宅価格の上昇抑制につながったとみる。マカオ人投資家の間で珠海シフトが進む一方、外資によるマカオへの投資の動きはみられないとのこと。賃貸についても、より価格の安い珠海への流出がみられるという。2014年のマカオの住宅価格は最高30%上昇した時期もあったが、直近では10%近い下落となったといい、通年では10%程度の上昇にとどまる。
また、カジノ経済が調整期を脱する見通しが立たないこと、物価の安い珠海へのシフトが進むことで、今年のマカオの住宅価格は前年比5-10%、賃貸価格についても10%のそれぞれマイナスになるとの見通しだ。
今年下半期以降、コタイ地区にカジノ付き大型IR(統合型リゾート)施設の開業ラッシュがスタートすることから、カジノ売上の回復も予想されている。その影響を受け、年末までに不動産価格が復調となる可能性もあるとされる。