マカオ特別行政区の崔世安行政長官は1月25日、訪問先の北京で記者会見を行った際、「カジノ産業を核としたマカオ経済は約10年に渡って急速な発展を遂げたため、昨今の調整期入りも正常な現象である」とした上、「だからこそ、産業多角化、近隣地域との協力推進が不可欠」の見方を示した。
マカオのカジノ産業はカジノライセンスの対外開放直後の2003年以降、約10年に渡って急速な発展を遂げてきたが、2014年6月以降、月次カジノ売上が7ヶ月連続で下落に転じている。崔行政長官は「昨今カジノ税収の下落、マスゲーミング(平場)フロア、VIPルームの数字に停滞が見受けられるが、どんな産業にも成長と停滞の周期があるのは正常なことだ」との考えをあらためて示した。また、「特区政府は外貨準備や超額積立を含む安定的な財政積立制度を運営している」とし、危機管理対策も万全であるとしている。今後については「産業多角化と住民への社会福祉の充実を同時に推進し、持続可能な発展を目指す」と語った。
今後、大型IR(統合型リゾート)施設が相次ぎ開業を予定している中、各施設へのゲーミングテーブル数の配分についても関心が高まっている。政府はテーブル数の増加数を年平均3%以内とする指針を明らかにしているが、カジノ産業の停滞時期にあたる現在でも変更はないか?という問いに対して「政府による指針を発表した時点で、将来的な大型IR施設の開業ラッシュは織り込み済みだ」との認識を示し「現時点では個々施設に対して配分調整を行う予定はない」と回答。また、カジノ運営企業に対して「停滞期における起爆剤になる」との期待を示し、「スケジュール通りに開業することを希望する」と呼びかけた。
さらに、先般、香港のリスクコンサルティング会社が「マカオ政府が中華系資本向けにカジノライセンスを1枠増やすのでは」との予測を発表したことについては、「マカオのカジノ産業に関する研究を行う研究機関やコンサルティング会社が数多く存在し、それぞれレポートなどを発表しているが、政府として個々に対するコメントをすべきではない」との立場を示した。