マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年(2015年)2月まで9ヶ月連続で前年割れとなっている。中でも、直近の今年2月は旧正月連休があったにも関わらず、過去最高の下げ幅となる前年比48.6%減を記録するなど、先行きに対する不安が広がっている。
マカオのカジノ売上の大半を稼ぎ出すのがVIPカジノ部門だが、中国本土の反汚職キャンペーンの拡大やマカオ当局によるカジノ周辺の規制強化などを理由に、VIPカジノの主要顧客基盤である中国本土富裕層の中で、中国の一部にあたるマカオへの渡航意欲が減退しているとされる。
マカオの日刊紙「澳門日報」が3月6日付紙面で報じた内容によると、複数の金融機関が3月に入って以降、カジノ売上の回復が見られ、下落傾向に底打ち感が見られるとの見解を相次いで明かしたという。
ゴールドマンサックスが3月5日に発表した最新レポートでは、旧正月連休後、マカオのカジノ売上は市場の予想を上回るペースで推移しており、3月の1日あたり平均売上は7億パタカ(日本円換算:約105億円)以上だという。このペースが今後も続くわけではないとしながらも、通年のカジノ売上予測を前年比9%減とし、1桁台のマイナスとした。
同社では、昨今のカジノ売上の低迷要因について、反汚職キャンペーンの拡大によるVIP市場の縮小のほか、ユーロ安・円安を挙げた。マカオのハイエンドマスゲーミング(最低賭け金の高い平場のカジノ)の顧客たちが、欧州への投資や日本への旅行に向かったとしている。
また、HSBCでも3月のマカオの1日平均カジノ売上は7億パタカを超えたとしており、ゴールドマンサックスと同じく3月に底を打つとの見方だ。
今後、今年5月から新規の大型カジノ・IR(統合型リゾート)施設の開業ラッシュがスタートすることから、カジノ売上の底上げに期待がかかる。一方、HSBCは新規カジノ施設に対するゲーミングテーブル許認可数の規模、カジノフロア全面禁煙化と中国本土からの個人旅行ビザの制限の有無や程度といった未確定要素があることもネガティブ要因として挙げている。