香港、中国本土からの団体旅客3割減=2月、買い出し客への暴力行為影響か

近年、中国本土から香港を訪れる旅客が急増している。昨年(2014年)中国本土から香港を訪れた旅客数は前年比16%増の4700万人となり、旅客総数の実に78%を占めた。

香港は北部の新界エリアで中国広東省シンセン市と接しており、上水(ションソイ)、屯門(ツェンムン)、沙田(シャーティン)、元朗(ユンロン)など、中国ボーダーからアクセスしやすいエリアに「水客」と呼ばれる買い出し客が押し掛け、日用品などを大量に買い漁ることから、地元住民との間で摩擦も発生している。

マカオの日刊紙「澳門日報」が3月14日付紙面で報じた内容によると、香港の地元住民の一部による「反水客」運動が激化しており、挑発や罵倒、取り囲みなどの暴力行為も見受けられるという。緊迫した状況となる中、香港旅行業界関係者は過激な反対運動の飛び火を恐れる店舗の臨時休業、中国本土旅客の香港渡航意欲低下による団体旅行者数の減少などの影響が出ていると指摘する。

香港旅行業議会の発表したデータによると、今年(2015年)1月に中国本土から香港を訪れた団体旅行数は1.1万だったが、2月は前年比33%減となる7751にまで急落したという。例年の書き入れ時にあたる2月中旬の旧正月連休もおよそ3割減だったとのこと。議会総幹事の董耀中氏は、香港を訪れる中国本土団体客急減の理由について、一部による過激な「反水客」運動の影響により、香港全体が中国本土旅客を歓迎しない街というイメージを持たれたためとの見方を示した。

香港旅行業従業員総会の余莉華副理事長によると、これまで香港を訪れていた中国本国からの団体客の行き先は日本、韓国、東南アジアへシフトしているとのこと。

香港を訪れる中国本土旅客の減少により、香港の小売、運輸、ホテル、飲食などの観光関連業界に経済的損失が及ぶことも懸念されている。

3月14日付の香港の日刊紙「アップルデイリー」電子版によると、3月第1週に香港を訪れた中国本土団体客は前年同期からおよそ半減、ホテル客室稼働率は2割程度下落したという。特に中国本土旅客を主要ターゲットとした宿泊施設では売上がおよそ6割減となったところもあるといい、観光業、ホテル業者の間で不安が広がっているとのこと。

九龍半島・尖沙咀からヴィクトリア港、香港島のビル群を望む(資料写真)—本紙撮影

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