マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年2月まで9ヶ月連続で前年割れとなっている。マカオ政府は今年1月に発表した2015年度予算案の中で、月次カジノ売上目標を昨年の300億パタカ(日本円換算:約4493億円)から275億パタカ(約4119億円)へ引き下げていたが、さらに200億パタカ(約2996億円)まで下方修正するという。
マカオの日刊紙「澳門日報」が3月24日付紙面に掲載したマカオ大学ゲーミング研究所所長のデービス・フォン博士へのインタビュー取材によると、政府による月次カジノ売上見通しの下方修正について、年初予想よりも15-20%の売上減が顕著になっているためで、特に書き入れ時となる旧正月連休シーズンの落ち込みが響いたと指摘する。また、カジノ経済の低迷に伴い、今年第1四半期のGDP(域内総生産)は20-25%の下落という衝撃的な数字が出ると予想されることから、市民に対して心の準備が必要と訴えた。
一方、カジノ売上減の主要因はVIPカジノ売上の不振にあるとし、VIPクラブ、仲介業、贅沢品の小売、高級レストラン、高級住宅といった分野は打撃を受けるが、一般客を対象としたカジノの平場(マスゲーミングフロア)やリテール業については逆に若干のプラスとなっており、市民の就業などに及ぶ影響はないだろうと語っている。
フォン博士によると、直近の統計でマカオのVIPカジノ売上の下落幅が60%以上にも達しているが、2010-11年の2年間でマカオのカジノ売上は平均40-50%の急成長を遂げ、VIPカジノに限ると60%増だったこともあるという例を挙げ、カジノは大きな浮沈が付き物の産業だという。