マカオで月内3人目のツツガムシ病患者確認

 マカオ政府衛生局(SSM)は5月27日、マカオで感染症のツツガムシ(恙虫)病とみられる患者が新たに1人報告されたと発表。

 SSMによれば、患者はマカオ人の女性(51)で、5月9日に臍の炎症と左脚付け根の痛みを伴うしこりの存在に気づき、これらの症状が持続したほか、11日には高熱が出たため、公立クリニックを受診。その後、症状は緩和したものの、微熱が続き、17日に両下肢に発疹が出現し、19日には顔と両上肢にも発疹が広がったことから、仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の救急外来を受診するに至り、検査で臍から豆粒大のかさぶたが1つ見つかったほか、肝機能に異常があることもわかり、入院することになったとのこと。27日に治癒して退院し、その症状、身体的特徴、治療の有効性からツツガムシ病と臨床診断された。

 患者は5月初頭に広東省珠海市の板樟山へハイキングに出かけ、草むらの中を歩いたが、同行者や職場の同僚に類似の症状は出ていないと説明したという。

 マカオでツツガムシ病の感染者が確認されるのは今年3人目で、すべて今月(5月)の事案。今回の患者は輸入性とみられるが、先に報告された2人はマカオ半島北部の望廈山市政公園の草むらの中を歩いたという共通点があり、域内で感染したとみられる。マカオで輸入性ではないツツガムシ病の感染例が見つかるのは極めて稀なケース。

 ツツガムシ病は日本で第4類感染症に指定されており、ツツガムシリケッチアと呼ばれる病原体の感染によって引き起こされる、人獣共通感染症のひとつ。野ネズミなどの哺乳類に寄生するダニの一種、ツツガムシのうちの一部が媒介者となる。ツツガムシが生息する野山や河川敷で罹患することが多い。ツツガムシ病の初期症状はインフルエンザににており、食欲減退、頭痛、悪寒、高熱などがみられ、4、5日目には発疹が現れる。放置すると肝臓や腎臓の機能にも影響が及ぶといわれる。現在、予防ワクチンはなく、抗生物質を服用することが有効な治療法とされているとのこと。

 SSMでは、野外活動の際にむやみに草むらに入らない、肌の露出が少ない服装を心がける、ダニに効く虫除けスプレーなどを使用するなど、感染防御策を徹底するよう市民に呼びかけている。

マカオの公立大型総合病院、仁伯爵綜合醫院(資料)—本紙撮影

マカオの公立大型総合病院、仁伯爵綜合醫院(資料)—本紙撮影

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